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新NISAの取り崩しシミュレーション|資産額・年代別に何年もつかを試算

2026 9/03
お金と制度
2026年7月15日2026年9月3日
にーと
新NISAの取り崩しシミュレーション
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この記事の判断軸:新NISAの取り崩し年数は、資産額だけでなく、年間支出、運用利回り、インフレ率、取り崩し額、相場下落の順序を入力して試算します。結果は予測ではなく、前提を変えた場合の資産寿命の比較として読みます。

「新NISAで資産を貯めたあと、いざ取り崩す段階になったら、いったい何年もつのだろう」——この疑問は、資産形成の出口が近づくほど切実になると言われています。この記事では、年代と資産額を組み合わせたモデルケースで、新NISAを中心に、資産が何年もつかを試算します。

なお、本記事で示す数値はすべて一定の前提を置いた仮の試算例であり、特定の個人の実績や将来を保証するものではありません。実際の運用成績・物価・税制は変動するため、あくまで「自分はどのパターンに近いか」を当てはめるための目安としてご覧ください。

※本記事は取り崩しの「金額と年数」に焦点を当てています。「新NISAと特定口座のどちらから先に取り崩すべきか」という順番の論点は、別記事「新NISAの取り崩しはどの順番が正解?特定口座との税額を試算」で詳しく扱っています。

新NISAの制度や非課税枠の最新情報は、金融庁のNISA公式情報で確認できます。


目次

この記事でわかること

  • 「取り崩し率」から資産寿命をざっくり見積もる早見表
  • 3,000万円・5,000万円・8,000万円それぞれのモデルケース試算
  • 話題の「4%ルール」を日本の新NISAにそのまま当てはめてよいか
  • シミュレーションの精度を上げるために調整すべき項目

前提:新NISAは「取り崩し=手取り」になる

シミュレーションの前に、新NISAの制度を簡単に確認します(出典:金融庁「新しいNISA」制度概要。最終更新日は記事末尾に記載)。

項目 内容
生涯非課税保有限度額 1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)
年間投資枠 つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円=最大360万円
非課税保有期間 無期限
売却枠の再利用 売却した分の非課税枠は、簿価(取得価額)ベースで翌年以降に復活

取り崩しの試算で特に重要なのは、新NISA内の資産は売却益が非課税である点だと言われています。特定口座であれば売却益に20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)の税金がかかりますが、新NISAではこれがかかりません。

つまり新NISAでは、取り崩した金額がそのまま手取り(生活に使えるお金)になるということです。特定口座の場合は「200万円の生活費が必要なら、含み益に対する税金分を上乗せして売却する」必要があるため、同じ生活費でも取り崩し方によって資産の減り方が変わってきます。この違いは資産寿命に効いてくるため、本記事のモデルケースでは新NISA部分を上限の1,800万円まで使い切った前提を基本に置いています。


ステップ1:まず「取り崩し率」で資産寿命を見積もる

資産が何年もつか(資産寿命)は、突き詰めると次の2つでほぼ決まると言われています。

  1. 取り崩し率:年間の取り崩し額 ÷ 資産額
  2. 運用利回り:取り崩しながらも残りを運用して得られる利回り

たとえば資産3,000万円から年120万円を取り崩すなら、取り崩し率は4%(120万÷3,000万)です。

下の早見表は、「運用を続けながら毎年一定額を取り崩した場合、資産がおおよそ何年でゼロに近づくか」を試算したものです。数値は複利計算(年末に取り崩す前提)による仮の試算例で、税金・手数料・インフレは考慮していません。

物価上昇の影響まで織り込んで「何年もつか」を確かめたい場合は、取り崩し率別に資産寿命をインフレ込みで試算した記事もあわせて確認すると、精度を高めやすくなります。

インフレ込みの資産寿命シミュレーションはこちら

資産寿命の早見表(運用利回り別・単位=年)

取り崩し率 利回り2% 利回り3% 利回り4%
3% 約56年 減りにくい(半永久) 減らない
4% 約35年 約47年 減りにくい(半永久)
5% 約26年 約31年 約41年
6% 約20年 約23年 約28年
7% 約17年 約19年 約22年
8% 約15年 約16年 約18年

この表から読み取れる大まかな傾向は次の通りです。

  • 取り崩し率が運用利回りを下回ると、資産は理論上ほとんど減らないとされています(利回り3%で取り崩し率3%のケースなど)。
  • 逆に取り崩し率が利回りを大きく上回ると、資産寿命は一気に縮みます。取り崩し率8%では、利回りが2〜4%あっても15〜18年程度で資産が尽きる計算になります。
  • 「何%で取り崩すか」は「何年分の生活を守りたいか」と直結します。60歳から始めて30年以上を見込むなら、利回り3%前提では取り崩し率を4〜5%以内に抑えたいところ、という目安が見えてきます。

自分の年間取り崩し額に置き換える

取り崩し率だけではイメージしにくいため、資産額ごとの年間取り崩し額(手取り目安)も示します。新NISA中心で非課税なら、この額がおおむね手取りになると考えられます。

資産額 取り崩し率4% 取り崩し率5% 取り崩し率6%
3,000万円 年120万円 年150万円 年180万円
5,000万円 年200万円 年250万円 年300万円
8,000万円 年320万円 年400万円 年480万円

月あたりに直すと、3,000万円の4%取り崩しで月10万円、5,000万円の5%で月約20.8万円、8,000万円の5%で月約33.3万円です。ここに公的年金が加われば、月々の生活費はさらに上乗せできる計算になります。


ステップ2:年代×資産規模別のモデルケース試算

早見表は「一定額を取り崩し続ける」前提でしたが、現実には公的年金の受給が始まると取り崩し額を減らせるため、資産寿命は表よりも延びやすいと言われています。ここでは年代・資産規模の異なる3つのモデルケースで、年金受給前後の二段階に分けて試算します。

いずれも実在の個人ではなく、説明のために設定した架空のモデル(Aさん・Bさん・Cさん)です。運用利回りは1本目の記事と揃えて年3%、公的年金の受給開始は65歳と仮定します。年金額も一定の前提を置いた仮定値です。

ケースA:Aさん(50代前半・元会社員)/資産3,000万円

項目 前提
取り崩し開始 53歳
資産構成 新NISA 1,800万円+特定口座 1,200万円
生活費(手取り) 年240万円(月20万円)
想定年金(65歳〜) 年180万円(月15万円)

53〜64歳の12年間は、年金がないため年240万円をまるまる取り崩します。取り崩し率は8%(240万÷3,000万)と高めです。年3%運用しながら取り崩すと、65歳時点の残高は約870万円まで減る計算です。

65歳からは年金180万円が入るため、取り崩しは差額の年60万円で済みます。約870万円から年60万円を取り崩すと、おおよそ84歳前後で資産が底をつく試算になります。

※この試算は特定口座部分の売却益にかかる税金を考慮していません。Aさんの資産3,000万円のうち1,200万円は特定口座です。53〜64歳の12年間で取り崩す総額は2,880万円になるため、新NISA部分だけでは賄いきれず、どこかの時点で特定口座からの売却が必要になります。特定口座では売却益に20.315%が課税されるため、同じ手取り額を確保するには税金分を上乗せして売却することになり、実際の資産寿命は上記の試算より短くなる可能性があります。税額は取得価額(含み益の大きさ)や取り崩す順番によって変わるため、本記事では具体的な金額までは試算していません。

読み取れること:資産3,000万円で50代前半から月20万円の生活を続けると、年金を足しても資産寿命が84歳前後にとどまる可能性がある、ということです。長生きリスクを考えると、生活費をもう一段抑えるか、後述する調整(就労収入・取り崩し率の見直し)が現実的な選択肢になると考えられます。

ケースB:Bさん(60歳・退職金あり)/資産5,000万円

項目 前提
取り崩し開始 60歳
資産構成 新NISA 1,800万円+特定口座 3,200万円
生活費(手取り) 年300万円(月25万円)
想定年金(65歳〜) 年200万円(月約16.7万円)

60〜64歳の5年間は年300万円を取り崩します(取り崩し率6%)。年3%運用の前提で、65歳時点の残高は約4,200万円です。

65歳からは年金200万円が入るため、取り崩しは年100万円に減ります。この時点の取り崩し率は約2.4%で、運用利回り3%を下回るため、資産は理論上ほとんど減らず、むしろ横ばい〜微増で推移しやすい試算になります。

読み取れること:厚生年金がある程度見込める会社員が、退職金を含めて5,000万円を確保できていれば、資産寿命の面では比較的安心圏に入りやすい、という傾向が見えます。ただし年金額は加入期間や報酬によって大きく変わるため、実際の受給見込み額はねんきん定期便や公的年金シミュレーターで確認することが望ましいとされています。

ケースC:Cさん(50代後半・ゆとり型)/資産8,000万円

項目 前提
取り崩し開始 57歳
資産構成 新NISA 1,800万円+特定口座 6,200万円
生活費(手取り) 年400万円(月約33万円)
想定年金(65歳〜) 年200万円

57〜64歳の8年間は年400万円を取り崩します(取り崩し率5%)。年3%運用の前提で、65歳時点の残高は約6,600万円です。

65歳からは年金200万円が入り、取り崩しは年200万円に減ります。取り崩し率は約3.0%で運用利回りとほぼ同水準のため、資産は長期にわたって大きくは減りにくい試算になります。

※この試算も特定口座部分の売却益にかかる税金を考慮していません。Cさんの資産8,000万円のうち6,200万円は特定口座で、57〜64歳の8年間で取り崩す総額は3,200万円です。新NISA部分だけでは賄いきれないため、特定口座からの売却が必要になり、その売却益には20.315%が課税されます。同じ手取り額を確保するには税金分を上乗せした売却が必要になるぶん、実際の資産寿命は上記の試算より短くなる可能性があります。税額は取得価額(含み益の大きさ)や取り崩す順番によって変わるため、本記事では具体的な金額までは試算していません。

読み取れること:8,000万円規模で年400万円のゆとりある生活を送っても、年金受給後は取り崩し率が下がるため、資産寿命の不安は小さくなりやすい傾向です。一方で、特定口座部分が6,200万円と大きいため、取り崩し時の課税を抑える「順番」の工夫が手取りに与える影響も大きくなります(順番の論点は別記事を参照)。

3ケースの比較

モデル 資産額 取り崩し開始 65歳時点残高(試算) 資産寿命の傾向
Aさん 3,000万円 53歳 約870万円 84歳前後で枯渇の可能性
Bさん 5,000万円 60歳 約4,200万円 年金受給後はほぼ横ばい
Cさん 8,000万円 57歳 約6,600万円 長期的に減りにくい

資産残高の推移(3ケース比較)

縦軸=資産残高(万円)/横軸=年齢(歳)

8000 6000 4000 2000 0 資産残高(万円) 50 55 60 65 70 75 80 85 90 年齢(歳) 65歳 8000万 6577万 6479万 5000万 4204万 5156万 3000万 65歳 871万 85歳 枯渇

Aさん(3,000万円・53歳開始)
Bさん(5,000万円・60歳開始)
Cさん(8,000万円・57歳開始)

※年3%運用・記事内の取り崩し額を前提としたにーと試算です。実際の運用成績を保証するものではありません。

同じ「新NISAを活用した取り崩し」でも、資産額・開始年齢・生活費・年金の組み合わせで結果は大きく変わります。重要なのは金額の絶対値よりも、「取り崩し率が運用利回りと年金でどこまでカバーできるか」という構造だと考えられます。


4%ルールは日本の新NISAにそのまま使える?

取り崩しの話題では「4%ルール」がよく登場します。これは「資産の4%を年間で取り崩せば、資産は長期的に維持されやすい」という考え方です。起点は、米国のファイナンシャル・プランナーであるウィリアム・ベンゲン氏が1994年に『Journal of Financial Planning』で発表した論文「Determining Withdrawal Rates Using Historical Data」だとされています。その後、米国トリニティ大学の3人の教授による1998年の研究(いわゆる「トリニティ・スタディ」)が同じ考え方を検証し、広く知られるきっかけになったと言われています。

ただし、これを日本の新NISAにそのまま当てはめてよいかについては議論があります。にーととしては、少なくとも次の点に留意が必要と考えています。

  • 前提が米国市場:元の研究はS&P500など米国株と米国債の過去実績、米国のインフレ率を前提としています。円建て資産のリターンや為替の影響は考慮されていません。
  • 税制の違い:米国の研究は課税前提の部分もありますが、日本では新NISAが非課税である一方、特定口座には20.315%の課税があります。「4%取り崩し」が手取りベースか売却額ベースかで意味が変わります。
  • 公的年金・退職金の存在:日本では65歳以降に公的年金が加わるため、モデルケースで見た通り取り崩し率を下げられます。米国型の「資産だけで全生活費を賄う」前提とは条件が異なります。

したがって4%ルールは「一つの目安」として参考になるものの、日本では年金受給前後で取り崩し率を変える二段階設計のほうが実態に合いやすい、という見方があります。本記事のモデルケースも、この二段階を前提にしています。

4%ルールを日本の制度に合わせて調整する視点は、4%ルールを新NISA向けに調整する4つの視点で詳しく説明しています。

4%ルールを日本の新NISA向けに調整する視点はこちら


シミュレーションの精度を上げる4つの調整項目

ここまでの試算は前提を単純化しています。より現実に近づけるには、次の4点を各自の状況に合わせて調整することが望ましいとされています。

  1. インフレ:物価が上がれば必要な生活費も増えます。年1〜2%の物価上昇を織り込むと、取り崩し額は年々増やす必要が出てきます。本記事の試算は物価一定の前提です。
  2. 暴落リスク(シークエンス・オブ・リターンズ):取り崩し初期に大きな下落が来ると、資産寿命が想定より大きく縮むと言われています。取り崩し開始直後ほど、生活防衛資金の厚みが効いてきます。
  3. 公的年金の実額:モデルの年金額は仮定値です。実際の見込み額はねんきん定期便や公的年金シミュレーター(厚生労働省)で確認できます。
  4. 取り崩しの順番と税金:特定口座と新NISAのどちらから取り崩すかで、生涯の税負担=手取りが変わります。この論点は別記事「新NISAの取り崩しはどの順番が正解?特定口座との税額を試算」で数値比較しています。

このうち暴落リスクへの備えについては、暴落時に取り崩しを止めるべきかを過去データから検証した記事で、具体的な調整ルールを解説しています。

暴落時の取り崩しルールはこちら

これらを踏まえると、シミュレーションは「一度計算して終わり」ではなく、相場や物価の変化に応じて定期的に見直すものだと考えられます。


売却したNISA枠はいつ戻る?

新NISAで取り崩しを考えるときは、資産が減ることだけでなく、売却後に投資枠を再利用できる仕組みも押さえておく必要があります。金融庁によると、売却した商品の取得価額、つまり簿価に相当する金額の枠が、翌年以降に復活します。売却時の時価がそのまま戻るわけではありません。

購入時の金額 売却時の金額 翌年以降に戻る枠
100万円 80万円 100万円
100万円 150万円 100万円
100万円 50万円 100万円

たとえば100万円で買った投資信託を150万円で売却しても、翌年以降に再利用できるのは150万円ではなく、購入時の100万円分です。また、売却した年にすぐ同じ枠を使えるわけではありません。取り崩しのために売却した資金を、翌年以降に再投資する可能性があるかまで考えると、NISA口座の使い方を決めやすくなります。

なお、年間投資枠は別に管理されるため、復活した総枠を使う場合でも、その年の年間投資枠を超えて買い付けることはできません。売却したからといって、1,800万円の枠を何度でも短期間で回転させられる制度ではありません。

試算結果を自分の生活費に置き換える方法

記事内の「年120万円」「年200万円」といった取り崩し額は、生活費そのものではありません。住民税、健康保険料、国民年金保険料、医療費、家賃の更新費など、投資以外の支出も含めて必要額を決める必要があります。

確認する金額 計算方法
年間の基本生活費 家賃・食費・光熱費・通信費などを合計
臨時支出の年平均 家電、旅行、医療、冠婚葬祭などを数年分で平均
税・社会保険料 退職後の所得と自治体の制度をもとに別計算
安全余裕 相場下落や収入減に備えた現金を別に確保

年間の取り崩し額を低く設定しすぎると、表のうえでは資産が長くもっても、生活の途中で追加の売却が必要になります。反対に、毎年一定額を機械的に取り崩すのではなく、相場が下落した年は支出を抑え、上昇した年に必要額を補う方法もあります。シミュレーションは、生活費の見積もりと取り崩しルールを一緒に作るために使うものです。

まとめ

  • 資産寿命は「取り崩し率」と「運用利回り」でおおよそ決まり、取り崩し率が利回りを下回ると資産は理論上ほとんど減らないとされています。
  • 年代・資産額別のモデルケースでは、3,000万円は年金を足しても84歳前後で枯渇する可能性があり、5,000万円・8,000万円は年金受給後に取り崩し率が下がって資産寿命が延びやすい傾向が見えました(いずれも仮の試算例)。
  • 4%ルールは米国発の考え方であり、日本では税制・年金・為替の違いから、そのまま当てはめるより「年金受給前後の二段階設計」が実態に合いやすいという見方があります。
  • 本記事の数値はすべて前提を置いた試算です。インフレ・暴落・年金実額・取り崩しの順番を各自の状況で調整し、定期的に見直すことが望ましいとされています。

なお、本記事は特定の金融商品や証券会社を推奨するものではなく、投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。制度の詳細は金融庁・厚生労働省など公的機関の最新情報をご確認ください。


最終更新日:2026年8月20日

参考:金融庁「新しいNISA」制度概要/厚生労働省「公的年金シミュレーター」


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シミュレーション結果を使うときの注意

資産が何年もつかは、開始年齢、毎月の支出、運用利回り、インフレ率、相場下落の順番で変わります。

前提 最低限つくるケース
運用 標準ケースと低リターンケース
支出 現在額と臨時費を含むケース
収入 年金・副業なしのケース

一つの結果だけで退職時期を決めず、前提を変えたときに結論がどれだけ動くかを確認してください。

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