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株主優待とは?仕組み・もらい方・種類・注意点を初心者向けにやさしく解説

2026 7/26
株主優待
2026年7月15日2026年7月26日
フクロウ
株主優待とは何かを解説する初心者向けガイドのアイキャッチ画像
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最終更新日:2026年7月26日 / フクロウ

「株主優待」という言葉を、投資をあまりしたことがない方でも一度は耳にしたことがあるかもしれません。有名企業の食事券やクオカード、自社製品の詰め合わせなどが株主に届く——そんなイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。

株主優待は、投資の楽しみのひとつとして日本で広く知られている制度です。一方で、「どうすればもらえるのか」「配当金と何が違うのか」「気をつけることはないのか」といった全体像までは、意外と知られていません。

この記事では、株主優待の基本的な定義から、優待をもらうための仕組み、優待の種類、配当金との違い、銘柄を探すときの視点、そして投資として取り組む際の注意点までを、体系的に整理して解説します。株主優待をこれから知りたいという方が、この記事だけで全体像をつかめることを目指しています。

はじめに(ご注意)

本記事は株主優待という制度の一般的な解説を目的としたものであり、特定の銘柄・金融商品・証券会社の購入を推奨するものではありません。投資には元本割れなどのリスクが伴います。実際の投資判断は、ご自身の責任において、必要に応じて公式情報や専門家への確認を行ったうえで行ってください。


目次

株主優待とは?——企業が株主に贈る「もうひとつの還元」

株主優待とは、企業が自社の株式を保有する株主に対して、自社製品・サービス・割引券・ギフト券などを提供する制度のことを指します。株を保有していることへの「お礼」や「感謝」の意味合いで贈られるものと説明されることが多く、企業側にとっては個人株主を増やし、長く株を持ってもらうための施策のひとつと位置づけられています。

たとえば、食品メーカーであれば自社の製品詰め合わせ、外食チェーンであれば店舗で使える食事券、鉄道会社であれば乗車割引券といったように、その企業の事業内容に関連した優待が用意されているケースが一般的です。

株主優待は「日本で特に発達した制度」と言われている

株主への利益還元というと、世界的には後述する「配当金」が中心です。自社製品やサービスを株主に贈るという株主優待の仕組みは、海外ではあまり一般的ではなく、日本に特徴的な制度であるとたびたび指摘されています。

その背景には、個人株主を大切にする日本企業の文化や、個人投資家に長期的に株を保有してもらいたいという企業側の意図があるとされています。優待という「目に見えるお礼」があることで、投資に馴染みの薄い層にとっても株式投資が身近に感じられる、という側面もあると考えられています。

なお、国内の上場企業のすべてが株主優待を実施しているわけではありません。実施している企業は一定数にとどまり、業種や企業の方針によって「優待を実施する会社」と「実施しない会社」に分かれます。近年は、後述するように優待を取りやめる企業の動きも見られるため、優待の有無は銘柄ごとに個別に確認する必要があります。

それでは、実際にどのくらいの企業が株主優待を実施しているのでしょうか。大和インベスター・リレーションズの調査(2025年9月末時点)によると、株主優待を実施している上場企業は1,624社にのぼり、これは全上場企業の約41.2%にあたります(楽天証券トウシルの報道による)。前年からは135社増加しました。上場企業のおよそ4割・1,600社超が導入している計算で、株主優待が日本の株式市場に広く根づいた制度であることがうかがえます。

一方で、裏を返せば残りの約6割の企業は株主優待を実施していないことにもなります。「日本企業なら優待があるはず」と考えて銘柄を選ぶと、実際には対象外だったというケースも少なくありません。この点からも、優待の有無は投資したい企業ごとに個別に確認しておくことが大切だといえます。


株主優待をもらう仕組み——「権利確定日」と「権利付き最終日」

株主優待は、「その企業の株を持ってさえいればいつでももらえる」というものではありません。あらかじめ企業が定めた特定の日に、株主として名簿に記載されている必要があります。 この仕組みを理解することが、優待をもらううえでもっとも重要なポイントです。

ここでは、関連する3つの日付を順に整理します。

① 権利確定日

権利確定日とは、株主優待や配当を受け取る権利が確定する基準日のことです。この日に「株主名簿」に名前が載っている株主が、優待や配当を受け取る対象となります。多くの企業では、決算期末(たとえば3月末や9月末など)が権利確定日に設定されているケースが一般的です。

企業によって、優待をもらえる基準日が年に1回のところもあれば、年に2回設定されているところもあります。狙っている企業の優待がいつ確定するのかは、各企業の公式サイト(IR情報)や証券会社の情報などで確認できます。

② 権利付き最終日

ここで注意が必要なのが、「権利確定日に株を買っても間に合わない」という点です。

株式の売買では、注文が成立(約定)してから、実際に株主としての権利が確定するまでに数営業日かかります。現在の日本の株式市場では、株式の受け渡しは約定日から2営業日後に行われる仕組みになっています。

そのため、優待や配当の権利を得るには、権利確定日の2営業日前までに株を購入しておく必要があります。 この「権利を得るために株を保有していなければならない最終日」を権利付き最終日と呼びます。

  • 権利付き最終日:この日の取引終了時点で株を保有していれば、優待・配当の権利が得られる
  • 権利確定日の当日に慌てて買っても、受け渡しが間に合わず権利は得られない

③ 権利落ち日

権利付き最終日の翌営業日を「権利落ち日」と呼びます。 この日以降に株を買っても、その回の優待・配当の権利は得られません。逆に言えば、権利付き最終日の取引終了時点まで株を保有していれば、権利落ち日に株を売却しても、

権利確定までの3つのステップ

時系列で見る「いつ買えば権利がもらえるか」

STEP 1
権利付き最終日
ここまでに株を持っておく

この日の取引終了時点で株を保有していれば、優待・配当の権利が得られます。

権利確定日の当日に慌てて買っても、受け渡しが間に合わず権利は得られません。

→
STEP 2
権利落ち日
権利付き最終日の翌営業日

この日以降に株を買っても、その回の優待・配当の権利は得られません。

注:権利落ち日には株価が下がりやすい傾向があるとされています。

→
STEP 3
権利確定日
権利付き最終日から2営業日後

株主優待や配当を受け取る権利が確定する基準日です。

この日に株主名簿に名前が載っている株主が対象となります。

その回の優待・配当を受け取ることはできます。

「1日だけ持てばいい」と考える前に

こうした仕組みから、「権利付き最終日にだけ株を買って、翌日に売れば効率よく優待だけもらえるのでは」と考える方もいます。しかし、後述するように権利落ち日には株価が下がりやすい傾向があるとされており、単純に得をするとは限りません。優待の仕組みは、あくまで「その企業の株主であること」への還元である、という前提を押さえておくとよいでしょう。


株主優待の主な種類

株主優待の内容は企業によってさまざまですが、一般的には次のようなタイプに分けて整理されることが多いです。

自社製品・自社サービス

食品・飲料・化粧品・日用品メーカーなどが、自社の製品詰め合わせを株主に贈るタイプです。その企業ならではの優待として人気が高いとされます。

食事券・買物券

外食チェーンや小売企業でよく見られる、店舗で使える食事券・買物券・商品券タイプの優待です。日常的に利用する店舗であれば、実質的な生活費の節約につながると考える人もいます。

割引券・優待割引

鉄道・航空・宿泊・レジャー施設などで利用できる割引券タイプです。旅行やお出かけの機会が多い人にとっては価値を感じやすい優待とされています。

クオカード・ギフトカード

金額が明確で使い道の自由度が高いことから、幅広い層に受け取りやすい優待として知られています。

カタログギフト

複数の商品の中から株主が好きなものを選べるタイプです。保有する株数(優待のランク)に応じて選べる商品のグレードが変わることもあります。

その他(優待ポイント・寄付選択など)

近年は、優待品の代わりにポイントを付与し、専用サイトで好きな商品と交換できる仕組みや、優待に相当する額を寄付に回せる選択肢を用意する企業なども見られます。

なお、同じ企業でも保有する株数に応じて優待の内容が変わるのが一般的です。多くの株を持つほど優待が手厚くなる設計になっていることが多いため、「何株保有すればどの優待がもらえるのか」を事前に確認しておくことが大切です。

では、2025年の株主優待の動向を、新規導入と廃止の両面から見てみましょう。東京商工リサーチの調査(2026年2月発表)によると、2025年に優待を新規導入した上場企業は175社、廃止した企業は68社でした。以下は同調査による内訳です。

2025年の株主優待動向 企業数
新規導入 175社
廃止 68社(うち38社はTOB・MBOによる上場廃止が理由)

新規導入した175社のうち、最も多かったのは商品券・デジタルギフト(QUOカード・PayPayなど)で、90社(51.4%)と全体の約半数を占めました。近年の新設優待は、企業側にとって用意しやすく、株主側も使い道を選びやすいこうした金券・デジタル型が主流になりつつあるようです。なお、この90社という数字はあくまで「2025年に新しく優待を始めた企業」の傾向であり、すでに優待を実施している企業も含めた全体(1,624社)の内訳ではない点にご注意ください。長く続く優待には自社製品や食事券なども多く、実際に投資する際は各企業の優待内容を個別に確認することが大切です。


株主優待と配当金の違い

株主への還元という点では、株主優待とよく似たものに「配当金」があります。両者は混同されがちですが、性質が異なります。一般的な整理として、次のように比較できます。

項目 株主優待 配当金
還元の形 自社製品・サービス・割引券など(現物・サービス) 現金
実施する企業 一部の企業(実施しない企業も多い) 多くの企業が実施
株数との関係 段階制のことが多い(一定の株数で内容が決まる) 保有株数に比例して増える
税務上の扱い 原則として雑所得(配当控除の対象外) 配当所得(上場株式は原則20.315%が源泉徴収される)
海外での一般性 日本で特に発達したとされる 世界的に一般的

大きな違いのひとつは、配当金が「保有株数に比例して増える現金」であるのに対し、株主優待は「一定の株数を持つと受け取れる現物・サービス」で、必ずしも株数に完全比例しないという点です。たとえば「100株で食事券○枚、300株で○枚」というように、段階的に設定されているケースが多く見られます。

税金の扱いも配当金と優待では異なる

税務上の扱いも、両者で明確に分かれます。

配当金のうち、上場株式の配当金については、受け取る時点で所得税・復興特別所得税15.315%と住民税5%、合わせて20.315%が源泉徴収されるのが原則です(発行済株式の一定割合以上を持つ大口株主等に該当する場合は、この軽減税率の対象外となり取り扱いが変わります)。証券口座に入金される金額は、すでに税金が差し引かれたあとの手取り額ということになります。

一方、株主優待は配当金とは別の扱いになります。株主優待は、株主であるという立場に基づいて会社から受け取る経済的な利益ではあるものの、税法上は配当所得としては扱われず、原則として雑所得に区分されるとされています。配当所得ではないため、配当控除の適用もありません。

つまり、優待は配当金のように受け取り時点で税金が天引きされるわけではなく、原則として自分で申告対象になるかどうかを判断することになります。ここで関わってくるのが、給与所得者の申告ルールです。給与を1か所から受けていて、その給与の全部が源泉徴収の対象となっている人の場合、給与所得および退職所得以外の各種所得金額の合計額が20万円を超えるときに所得税の確定申告が必要になる、というのが基本的な考え方です。裏を返せば、優待を含めた給与所得・退職所得以外の所得が年間20万円以下に収まっていれば、所得税の確定申告までは求められないケースが多い、ということになります。

ただし、この20万円という基準はあくまで「所得税の確定申告」についてのものであり、住民税の取り扱いは別に確認が必要です。また、給与を2か所以上から受けている場合や、医療費控除などで結局確定申告を行う場合には前提が変わります。受け取った優待をいくらとして計上するかも含め、実際の判断は個別の事情に左右されるため、最終的には国税庁の公式情報を確認する、または税理士などの専門家に相談することが推奨されます。

このように、配当金と株主優待は「どちらが優れている」というものではなく、性質の異なる2つの還元方法です。両方を実施している企業もあれば、配当のみ・優待のみという企業もあります。


株主優待銘柄を探すときの一般的な視点

株主優待に興味を持った際、銘柄を検討するうえで一般的に語られる視点をいくつか整理します。これらは特定の銘柄を勧めるものではなく、あくまで見るべきポイントの考え方です。

優待利回りという考え方

配当に「配当利回り」があるように、株主優待にも「優待利回り」という考え方があります。これは、優待の価値を投資金額で割ったもので、次のように計算されることが一般的です。

優待利回り(%)= 年間の優待の価値 ÷ 投資金額 × 100

たとえば、投資金額が10万円で、年間の優待の価値が3,000円相当とすると、優待利回りはおよそ3%と考えられます。さらに、この優待利回りに配当利回りを足したものを「総合利回り」と呼び、優待と配当を合わせた還元の水準を見る指標として使われることがあります。

ただし、優待の「価値」は金券のように金額が明確なものばかりではありません。自社製品やカタログギフトなどは、人によって感じる価値が異なります。数字上の利回りだけでなく、「その優待を自分が本当に使うかどうか」を合わせて考えることが大切だと言われています。

必要株数・単元を確認する

日本株は通常、100株を1単元として取引されるのが一般的です。そして多くの株主優待は、「最低100株以上の保有」など、一定の株数を条件としています。

そのため、優待をもらうには「1株だけ」では足りないことがほとんどで、その優待をもらうために最低いくらの資金が必要になるのかを事前に確認しておく必要があります。株価によっては、優待をもらうための最低投資額が数万円で済む場合もあれば、数十万円以上が必要になる場合もあります。

自分のライフスタイルに合うかを考える

株主優待は「もらえること」自体が目的になりやすい制度ですが、使わない優待は価値を活かしきれません。よく行く店舗の食事券、日常的に使う製品、利用する交通機関の割引など、自分の生活に馴染む優待かどうかという視点で見ることが、優待を活かすうえで重要だと考えられています。


株主優待投資の注意点

株主優待は魅力的な制度ですが、投資である以上、注意しておきたい点もあります。一般的に指摘されているものを整理します。

① 優待の廃止・改悪リスク

株主優待は、企業が任意で実施している制度です。そのため、企業の業績や方針の変化によって、優待の内容が縮小されたり(改悪)、廃止されたりすることがあります。 近年は、株主間の公平性の観点や、配当による還元へ一本化する方針などから、優待を取りやめる企業の動きも見られると報じられています。

もっとも、廃止の話題は目立ちやすい一方で、市場全体の動向を見ると必ずしも減少一辺倒というわけではありません。東京商工リサーチの「2025年全上場企業『株主優待』導入・廃止動向調査」(2026年2月発表)によると、2025年に優待を新規導入した企業は175社、廃止した企業は68社でした。さらに、廃止した68社のうち55.8%にあたる38社は、TOB(株式公開買い付け)やMBO(経営陣による買収)にともなう上場廃止が理由であり、企業が自主的に優待だけをやめたケースはより限られます。

つまり、数のうえでは新規導入が廃止を上回っており、株主優待を実施する企業の総数はむしろ増加傾向にあると報じられています。個別の銘柄では廃止・改悪が起こりうるため注意は欠かせませんが、制度そのものが急速に縮小しているわけではない、という実態も押さえておくとよいでしょう。

「優待を目当てに株を買ったのに、後から優待がなくなってしまった」というケースは起こり得ます。優待は将来にわたって保証されたものではない、という前提を持っておくことが大切です。

② 権利落ち後の株価変動

前述のとおり、権利落ち日には株価が下がりやすい傾向があると言われています。これは、優待や配当を受け取る権利がなくなったことで、その分の価値が株価から差し引かれるように動くと説明されることが一般的です。

「優待だけもらってすぐ売ればよい」と考えても、株価の下落によって、受け取った優待の価値以上に株価で損をしてしまう可能性もあります。優待の価値と株価の値動きは切り離して考えられない、という点に注意が必要です。

③ 株価そのものの変動リスク

当然ながら、株式は優待の有無にかかわらず値動きします。優待に注目するあまり、企業の業績や財務状況といった本来見るべき点を見落としてしまうと、株価下落による損失が優待のメリットを上回ってしまうこともあります。優待はあくまで投資のひとつの要素であり、企業そのものへの投資であることを忘れないことが重要です。

④ 長期保有条件などの細かい規定

企業によっては、「1年以上継続して保有している株主のみ優待を贈る」「長期保有でグレードが上がる」といった条件を設けている場合があります。短期の保有では優待を受け取れなかったり、内容が異なったりすることがあるため、優待の条件は事前に細かく確認しておくとよいでしょう。


まとめ——株主優待は「仕組みを理解して活用する」もの

最後に、この記事の要点を整理します。

  • 株主優待とは、企業が株主に自社製品・サービス・割引券などを贈る、日本で特に発達したとされる制度である
  • 優待をもらうには、権利付き最終日(権利確定日の2営業日前)の取引終了時点で株を保有している必要がある
  • 優待には自社製品・食事券・買物券・割引券・クオカード・カタログギフトなどさまざまな種類がある
  • 配当金が「保有株数に比例した現金」であるのに対し、優待は一定の株数で受け取れる現物・サービスという違いがある
  • 税務上も、配当金は原則20.315%が源泉徴収されるのに対し、優待は原則として雑所得として扱われ、給与所得者は給与所得・退職所得以外の所得が年20万円を超えるかどうかが確定申告の目安になる
  • 銘柄を見るときは、優待利回り・総合利回り・必要株数・自分の生活に合うかといった視点が語られる
  • 一方で、優待の廃止・改悪リスク、権利落ち後の株価変動、株価そのものの変動リスクなど、注意すべき点もある

株主優待は、投資を身近で楽しいものにしてくれる制度である一方、「優待をもらうこと」だけを目的にすると、思わぬ落とし穴にはまることもあります。仕組みと注意点を理解したうえで、自分の生活や投資方針に合った形で活用していくことが大切だと言えるでしょう。

免責事項

本記事は株主優待制度に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄・金融商品の購入や投資を推奨・勧誘するものではなく、制度や税務上の取り扱いは変更される場合があります。最新情報は各企業のIR情報・証券会社・国税庁などの公式情報をご確認のうえ、投資は元本割れを含むリスクを伴うため、最終的な判断はご自身の責任において行ってください。

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