牛丼チェーンでおなじみの吉野家ホールディングス(証券コード9861)は、全国の店舗で使える食事優待券がもらえることから、外食系の株主優待のなかでも知名度の高い銘柄です。この記事では、何株持てばいくら分の優待がもらえるのか、権利確定日はいつか、どの店舗で使えるのか、そして過去の制度変更(改悪)の経緯まで、公開情報をもとに客観的に整理します。
そもそも株主優待とはどういう仕組みで、どうやってもらえるのかといった基本から確認したい方は、株主優待とは?仕組み・もらい方・種類・注意点を初心者向けにやさしく解説もあわせてご覧ください。

※本記事は特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。制度・数値は変更される場合があるため、最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。
①株主優待の内容
吉野家ホールディングスの株主優待は、グループ店舗で使える500円のサービス券(食事優待券)です。年2回、保有株数に応じた枚数が進呈されます。1枚あたりの額面は500円で、保有株数が多いほど進呈枚数が増える仕組みです。
| 保有株数 | 1回あたり | 年間(2回合計) |
|---|---|---|
| 100株以上 | 500円券×4枚(2,000円相当) | 4,000円相当 |
| 200株以上 | 500円券×10枚(5,000円相当) | 10,000円相当 |
| 1,000株以上 | 500円券×12枚(6,000円相当) | 12,000円相当 |
| 2,000株以上 | 500円券×24枚(12,000円相当) | 24,000円相当 |
表を見るとわかるとおり、100株から200株に増やすと、投資額は2倍でも年間優待額は4,000円相当から10,000円相当へと2.5倍になります。単純な株数比よりも200株区分が手厚く設定されている点が特徴です。この効率の違いは⑥で利回りとして具体的に比較します。
また、200株以上を保有する場合は、優待券の代わりに「株主様ご優待商品セット」を選ぶこともできます。吉野家ホールディングスの株主還元ページでは、200株以上の株主に送られる案内に沿って商品セットとの引き換えができると説明されています。優待券と引き換える仕組みのため、優待券を使いながらセットも受け取ることはできません。セットの内容は、その回に届く案内で告知されます。この引き換えは200株以上が対象で、100株以上199株以下では利用できません。近くにグループ店舗がない場合でも優待を活かせる余地がある一方、その選択肢を使えるのは200株からという点は、保有株数を決めるうえでの判断材料になります。引き換えの受付時期については、後述の「優待券の使い方・使える店舗」で補足します。
②優待をもらうための条件
優待を受け取るために必要な条件は、次のとおりシンプルです。
- 最低必要株数:100株(単元株数は100株)
- 権利確定日(基準日):2月末日・8月末日の年2回
- 継続保有条件:なし
吉野家ホールディングスには、一定期間以上保有すると優待が上乗せされる「長期保有優遇制度」はありません。優待額は保有株数のみで決まるため、基準日時点で株主名簿に記載されていれば、保有期間の長さを問わず優待を受け取れる制度設計になっています。
③必要な投資額の目安
最低単位である100株を購入する場合の投資額の目安は次のとおりです。株価は2026年7月17日の終値3,652円をもとに計算しています。
| 保有株数 | 投資額の目安 | 年間優待額 |
|---|---|---|
| 100株 | 365,200円 | 4,000円相当 |
| 200株 | 730,400円 | 10,000円相当 |
| 1,000株 | 3,652,000円 | 12,000円相当 |
| 2,000株 | 7,304,000円 | 24,000円相当 |
株価は日々変動するため、上記はあくまで目安です。実際に購入する際は、その時点の株価に加えて売買手数料なども考慮する必要があります。最新の株価は証券会社や公式のIR情報でご確認ください。
④権利確定日とスケジュール
吉野家ホールディングスの決算期は2月で、優待の基準日は2月末日と8月末日の年2回です。優待券を受け取るには、それぞれの基準日に株主として名簿に記載されている必要があります。
一般に、権利を得るには権利確定日の2営業日前にあたる「権利付最終売買日」までに株式を購入しておく必要があります。翌営業日の「権利落ち日」に売却しても、その回の優待を受け取る権利は残ります。具体的な日付は年によって異なるため、各証券会社が公表するカレンダーや公式情報で確認することが確実です。
優待券の発送時期の目安は、送付案内によると5月上旬と11月中旬とされています。基準日から手元に届くまでには数か月かかる点を把握しておくとよいでしょう。
⑤優待券の使い方・使える店舗
優待券(500円券)は、吉野家ホールディングスグループの各店舗で1枚500円分として利用できます。主な利用可能店舗は次のとおりです。
- 吉野家
- はなまる(はなまるうどん)
- スターティングオーバー(カレーうどん千吉/鶏千/肉あんかけチャーハン炒王)
- ウィズリンク(ばり嗎/とりの助/風雲丸/ぶちとん など)
一方で、利用できない店舗もあります。「せたが屋」は全店舗で利用できません。また、上記グループのなかでも一部の店舗では利用できない場合があります。来店前に、公式サイトの利用可能店舗一覧で最新の対象店舗を確認しておくと安心です。
券面は500円単位のため、1枚あたり500円未満の会計で使う場合の端数の扱い(おつりの有無など)は店舗の運用に依存します。有効期限は約1年で、送付時期によって期限が異なります。目安として、5月上旬送付分は翌年5月末日まで、11月中旬送付分は翌年11月末日までとされています。期限切れに注意しながら、
株主様ご優待商品セットへの引き換えについて(200株以上)
200株以上を保有する場合、優待券を「株主様ご優待商品セット」に引き換えるという選択肢があります。引き換えの可否や申込方法、セットの内容は、株主に送られる案内で告知されます。優待券と引き換える仕組みのため、店舗で使うか引き換えるかは、どちらかを選ぶことになります。
注意したいのは、引き換えの申込には受付期間がある点です。吉野家ホールディングスの株主還元ページでも、引き換え期間が終了している旨が案内される時期があります。優待券が届いたら、店舗で使うか引き換えるかを早めに決め、届いた案内で申込期限と手続き方法を確認しておくと確実です。
使い切れる範囲で保有株数を検討するとよいでしょう。
なお、優待券は金券ショップでの買取・売買が流通しています。近くにグループ店舗がない場合の選択肢として知られていますが、買取レートは時期や店舗によって変動します。
⑥配当と優待から見た利回り
吉野家ホールディングスの魅力を測るうえで、配当と優待は分けて考えると整理しやすくなります。ここでは混同を避けるため、両者を合算した「合計利回り」として一本化せず、それぞれ個別に示します。いずれも③の投資額の目安をもとにした概算です。
優待利回り(保有株数別)
| 保有株数 | 投資額の目安 | 年間優待額 | 優待利回り(概算) |
|---|---|---|---|
| 100株 | 365,200円 | 4,000円相当 | 約1.10% |
| 200株 | 730,400円 | 10,000円相当 | 約1.37% |
| 1,000株 | 3,652,000円 | 12,000円相当 | 約0.33% |
| 2,000株 | 7,304,000円 | 24,000円相当 | 約0.33% |
優待だけで見ると、200株保有時が約1.37%と最も効率がよく、1,000株以上になると投資額の伸びに優待額が追いつかず利回りは下がります。優待の受け取りやすさを重視するなら、100株または200株の範囲が一つの目安になります。
配当利回り
2027年2月期の会社予想配当は1株あたり22円です。100株(投資額の目安365,200円)で計算すると、予想配当は年2,200円、予想配当利回りは約0.60%となります。証券情報サイトでは株価の取得時点により0.66%前後と表示される場合があります。
直近の配当は次のように推移しています。
| 決算期 | 年間配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| 2022年2月期 | 10円 | 8.0% |
| 2023年2月期 | 10円 | 8.9% |
| 2024年2月期 | 18円 | 20.8% |
| 2025年2月期 | 20円 | 34.0% |
| 2026年2月期 | 22円 | 30.5% |
年間配当は2022年2月期の10円から2026年2月期の22円まで増加傾向にあります。ただし配当利回りの水準自体は1%を下回っており、配当収入そのものよりも、優待を含めた総合的なリターンで評価される傾向のある銘柄といえます。
同じ外食業界の株主優待で利回りや必要投資額を比較検討したい方は、物語コーポレーション(3097)の株主優待とは?もらえる条件・必要投資額・実質利回りを解説もあわせて確認するとよいでしょう。

⑦優待の変更履歴
吉野家ホールディングスの優待は、過去に内容が変更されています。2021年10月13日に発表され、2022年2月末の基準日から適用された現行制度への変更では、次のような見直しが行われました。
| 項目 | 変更前 | 変更後(現行) |
|---|---|---|
| 券の内容(100株) | 300円券10枚×年2回 | 500円券4枚×年2回 |
| 年間優待額(100株) | 6,000円相当 | 4,000円相当 |
| 区分 | 3段階 | 4段階(200株以上を新設) |
100株保有時で比較すると、年間の優待額は6,000円相当から4,000円相当へと約33%減額されており、株主にとっては実質的な改悪となりました。一方で、同時に「200株以上」の区分が新設され、まとまった株数を持つ株主にはより手厚い設計へと変わっています。この改定以降、優待の追加変更や廃止の発表は確認されていません。
⑧向いている人・向いていない人
ここまでの内容を踏まえ、この優待銘柄が向いていると考えられる人・慎重な検討が必要な人を整理します。あくまで判断材料の一つとしてご覧ください。
向いていると考えられる人
- 吉野家やはなまるうどんなど、グループ店舗を日常的に利用する人
- 優待利回りの効率を重視し、200株までの範囲で検討したい人
- 配当よりも、食事優待という現物のメリットに価値を感じる人
- 近くにグループ店舗がなくても、200株以上で商品セットへの引き換えを視野に入れたい人
慎重な検討が必要と考えられる人
- 配当利回り(予想約0.6%)を重視し、インカム収入を主目的とする人
- 過去に減額実績があるため、優待改悪リスクを避けたい人
- 近くにグループ店舗がなく、優待券を使い切れる見込みが立ちにくい人
- 商品セットへの引き換え(200株以上が対象)も使いたいが、100株の範囲で保有を考えている人
外食系の優待銘柄を複数見比べて選びたい方は、同じく飲食チェーンを展開する力の源ホールディングス(3561)の株主優待|内容・条件・投資額を解説も参考になります。

⑨注意点・リスク
投資を検討する際に押さえておきたい注意点は次のとおりです。
- 有効期限がある:優待券の有効期限は約1年で、送付時期により期限が異なります。期限切れに注意が必要です。
- 使えない店舗がある:「せたが屋」は全店で利用できず、グループ内でも一部店舗は対象外です。
- 500円単位での利用:券は500円単位のため、端数が出る会計での使い勝手は店舗運用に左右されます。
- 改悪の実績がある:過去に100株保有時で約33%の減額が行われた経緯があり、優待内容が将来変更・廃止される可能性はゼロではありません。
- 配当利回りは低め:予想配当利回りは約0.6%と低く、株価下落が生じた場合に配当でカバーしにくい面があります。
これらの点は、投資判断の前に確認しておきたい要素です。制度や店舗の対象範囲は変更される可能性があるため、最新情報は必ず公式サイトで確認することが大切です。
⑩まとめ
吉野家ホールディングス(9861)の株主優待は、100株で年間4,000円相当、200株で年間10,000円相当のグループ店舗共通食事券がもらえる銘柄です。基準日は2月末・8月末の年2回で、継続保有条件はなく、100株から優待を受け取れます。優待利回りで見ると200株保有時が約1.37%と最も効率がよい一方、配当利回りは予想約0.6%と低めで、優待を中心に評価される傾向があります。
また、2022年2月末基準日から適用された改定で100株時の優待額が約33%減額された経緯があり、優待内容が将来変わる可能性も念頭に置いておく必要があります。日常的にグループ店舗を利用する人にとっては使い勝手のよい優待ですが、利用可能店舗や有効期限などの条件を確認したうえで検討するとよいでしょう。
※本記事は特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。制度・数値は変更される場合があるため、最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。



コメント