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世界のベストはコロナショックで分配金はどうなった?実績データで検証

2026 8/21
超配当&高配当
2026年7月21日2026年8月21日
にーと
世界のベストのコロナショック時の分配金実績
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世界のベストはコロナショックで分配金はどうなった?実績データで検証

「世界のベスト」の愛称で知られるインベスコ世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)は、毎月150円の分配金を続けてきた投資信託です。毎月分配を受け取る立場で気になるのは、コロナショックのような株価の急落局面で、この分配金が減らされないかどうかです。

結論から示すと、答えは引き下げなしです。「世界のベスト」はコロナ禍でも毎月150円の分配を続けました。ただし、その分配金がどこから支払われていたのかを一次資料でたどると、下落局面ならではの事情が見えてきます。この記事で主な材料にするのは、運用会社インベスコ・アセット・マネジメントが公表した運用報告書(全体版)のうち、コロナショックをまたぐ第73期から第78期(2019年12月24日〜2020年6月23日)を対象とした回です。

目次

「世界のベスト」とはどんな投資信託か

正式名称はインベスコ世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)で、運用会社はインベスコ・アセット・マネジメントです。設定は1999年1月7日。もともとは毎月分配ではありませんでしたが、2016年9月に毎月決算型へ変更し、2017年1月から毎月分配を始めました。

運用方針は、企業を「成長」「配当」「割安」の3つの観点から選ぶというものです。世界の先進国企業(エマージング国は除く)約2万社の中から、約40〜50銘柄に絞り込むボトムアップ型の運用で、運用拠点は英国のヘンリー・オン・テムズに置かれています。

ファンドそのものの評判や基本的な特徴については、別記事で詳しく整理しています。この記事は、その中でも下落相場での分配金というテーマに絞って掘り下げる内容です。

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コロナ禍でも、分配金は150円のまま据え置かれた

2020年1月から2023年1月までの分配金の推移を見ると、この期間の分配金は一貫して各月150円で、コロナ禍でも引き下げは行われていません。

コロナショックをまたぐ第73期から第78期の運用報告書(全体版)でも、この6期の分配金は1万口当たり合計900円、つまり毎月150円で変わっていません。一方で基準価額は同じ期間に大きく動いており、作成期首の2019年12月23日に11,784円だったものが、第75期末にあたる2020年3月23日には7,224円まで下がっています。それでも、分配金の金額そのものは動きませんでした。

2023年1月31日時点での設定来の累計分配実績は、1万口当たり課税前で14,200円と示されています。

ただし、金額が変わらなかったことと、その原資に余裕があったこととは、必ずしも同じではありません。次に、その分配金がどこから支払われていたのかを確認します。

そもそも分配金はどこから支払われるのか

投資信託の分配金は、運用によって得た利益からだけ支払われるとは限りません。「世界のベスト」の資料では、分配の原資(分配対象額)が大きく「当期の収益」と「当期の収益以外」に分けて説明されています。

「当期の収益」は、その計算期間に実際に生まれた利益です。保有する株式などから受け取る配当収益から経費を引いたものと、値上がり益・評価益から経費を引いたものが含まれます。

一方の「当期の収益以外」は、過去にためた利益や設定時の調整分です。前回までの決算で分配せずに積み立てておいた「分配準備積立金」と、追加設定によって既存の投資家の分配対象額が薄まらないように調整する「収益調整金」がこれにあたります。

ここが重要な点です。分配金がその期の「当期の収益」を上回った場合、足りない分は「当期の収益以外」から支払われます。これは、過去にためた利益や元本にあたる部分を取り崩して分配していることに近い性質を持ちます。毎月分配型の投資信託が抱えるこうした構造は、受け取る分配金の額とは別に理解しておきたいところです。

毎月分配型の投資信託に共通するメリットと注意点は、別記事でまとめています。

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コロナショック期は、6期連続で分配金の全額が「収益以外」から出ていた

ここからが本題です。第73期から第78期の運用報告書(全体版)には、分配原資の内訳が期ごとに載っています。この6期は2019年12月24日から2020年6月23日までで、世界の株価が急落した2020年2月から4月をそのまま含む期間にあたります。

報告書の投資環境の記述も、当時の相場をそのまま映しています。米国株式市場は2020年1月までおおむね上昇基調だったものの、新型コロナウイルスの感染拡大による景気減速への懸念などを要因に2月後半以降に急落したこと、欧州の株式市場も感染の世界的な拡大と原油価格の急落を背景に大きく下げたことが説明されています。この作成期の分配金再投資基準価額の騰落率は△18.1%で、ベンチマークであるMSCIワールド・インデックス(円換算指数)の△7.7%を下回りました。

そのうえで、各期の分配原資の内訳は次のとおりです(1万口当たり・税込み)。

  • 第73期(2019年12月24日〜2020年1月23日):分配金150円(対基準価額比率1.272%)。当期の収益は計上なし、当期の収益以外150円。翌期繰越分配対象額9,881円
  • 第74期(2020年1月24日〜2月25日):分配金150円(同1.346%)。当期の収益は計上なし、当期の収益以外150円。翌期繰越分配対象額9,731円
  • 第75期(2020年2月26日〜3月23日):分配金150円(同2.034%)。当期の収益は計上なし、当期の収益以外150円。翌期繰越分配対象額9,582円
  • 第76期(2020年3月24日〜4月23日):分配金150円(同1.844%)。当期の収益は計上なし、当期の収益以外150円。翌期繰越分配対象額9,432円
  • 第77期(2020年4月24日〜5月25日):分配金150円(同1.816%)。当期の収益は計上なし、当期の収益以外150円。翌期繰越分配対象額9,282円
  • 第78期(2020年5月26日〜6月23日):分配金150円(同1.690%)。当期の収益は計上なし、当期の収益以外150円。翌期繰越分配対象額9,132円

報告書の「当期の収益」の欄は、6期とも「-」と表記されています。コロナショックをまたぐこの6期は、いずれも分配金150円の全額が「当期の収益以外」から支払われていました。その期に稼いだ利益からではなく、過去にためた分配準備積立金や収益調整金を取り崩す形で払われていたということです。

分配の余力にあたる翌期繰越分配対象額も、第73期の9,881円から第78期の9,132円へ、6期間で749円減っています。各期の減少幅が分配金とほぼ同じ150円ずつになっているのは、当期の収益による補充がなかったためです。減配と取り崩しは別の問題で、分配金の金額が150円で変わらなくても、それを支える原資は下落局面で目減りしていた、という関係が読み取れます。

もう一点、対基準価額比率を見ると、株価が底を打った第75期が2.034%と6期の中で最も高くなっています。分配金の金額が150円で固定されているため、基準価額が下がるほど、基準価額に対する分配の比率は自動的に大きくなります。この比率はファンドの収益率とは異なるものだと、報告書にも注記されています。分配金利回りの高さを運用成績の良さと読み替えないほうがよい、ということです。

コロナショックに限らない。2022年前半の下落局面でも全額が「収益以外」だった

分配金の全額が「当期の収益以外」からという状態は、コロナショック期に限った話ではありません。早わかりガイドブックには、交付運用報告書の実例として、第97期から第102期(2021年12月24日〜2022年6月23日)の分配金の内訳が載っています。この時期は、金利上昇などを背景に世界の株式が調整した局面にあたります。各期の内訳は次のとおりです。

  • 第97期(2021年12月24日〜2022年1月23日):分配金150円(対基準価額比率1.621%)。うち当期の収益0円、当期の収益以外150円。翌期繰越分配対象額8,843円
  • 第98期(2022年1月25日〜2月23日):分配金150円(同1.709%)。当期の収益0円、当期の収益以外150円。翌期繰越分配対象額8,693円
  • 第99期(2022年2月25日〜3月23日):分配金150円(同1.611%)。当期の収益0円、当期の収益以外150円。翌期繰越分配対象額8,582円
  • 第100期(2022年3月24日〜4月25日):分配金150円(同1.599%)。当期の収益0円、当期の収益以外150円。翌期繰越分配対象額8,639円
  • 第101期(2022年4月26日〜5月23日):分配金150円(同1.731%)。当期の収益0円、当期の収益以外150円。翌期繰越分配対象額8,489円
  • 第102期(2022年5月24日〜6月23日):分配金150円(同1.713%)。当期の収益0円、当期の収益以外150円。翌期繰越分配対象額8,339円

この6期間も、いずれも当期の収益が0円で、分配金150円の全額が「当期の収益以外」から支払われていました。翌期繰越分配対象額は第97期の8,843円から第102期の8,339円へと減っています。

つまり、コロナショックのときも、その約2年後の下落局面のときも、同じことが起きていたことになります。原因となった出来事は感染症と金利上昇で違いますが、株式市場が下げて運用益が細る局面では、分配金150円が過去の蓄積からまかなわれる形になる、という点は共通しています。

相場が持ち直すと、原資の中身も変わる

下落局面で全額が「収益以外」だったからといって、それが常に続くわけではありません。直近の交付運用報告書(第139期〜第144期、2025年6月24日〜12月23日)で同じ内訳を見ると、様子が変わっています。この期間は基準価額が上昇する局面にありました。

この半年間では、分配金150円が当期の収益から全額まかなわれた期もあれば、当期の収益がわずか2円にとどまり、残りを「当期の収益以外」が占めた期もありました。当期の収益として計上された額は、150円・27円・13円・150円・2円・150円と期ごとに大きく動いています。コロナショック期や2022年前半のように6期連続で全額が「収益以外」だった状態とは異なり、収益と収益以外が入れ替わりながら混在していました。

原資の中身は、局面によって変わります。相場が回復して運用益が出ている時期には収益からの分配が増え、下落して運用益が細る時期には過去の蓄積からの分配が増えます。分配金の金額が一定でも、その中身は相場次第で動くということです。

直近5年の基準価額と分配金の推移

もう少し長い目で、決算日ごとの基準価額と分配金の推移も確認しておきます。以下は交付運用報告書に掲載された、為替ヘッジなし毎月決算型の最近5年間の数値です。

  • 2020年12月23日:基準価額8,704円、純資産総額45,301百万円
  • 2021年12月23日:基準価額9,594円、期間分配金合計(税込)1,800円、分配金再投資基準価額騰落率+33.1%、純資産総額110,909百万円
  • 2022年12月23日:基準価額8,142円、期間分配金合計1,800円、騰落率+4.3%、純資産総額250,723百万円
  • 2023年12月25日:基準価額9,051円、期間分配金合計1,800円、騰落率+36.3%、純資産総額1,049,053百万円
  • 2024年12月23日:基準価額9,237円、期間分配金合計1,800円、騰落率+23.2%、純資産総額1,712,866百万円
  • 2025年12月23日:基準価額8,972円、期間分配金合計1,800円、騰落率+19.0%、純資産総額3,086,486百万円

分配金は毎月150円、年間では1,800円で一貫しています。基準価額は8,000円台から9,000円台の間で上下していますが、分配金の金額はその動きにかかわらず据え置かれてきました。純資産総額はこの5年で453億円あまりから3兆円を超える規模へと大きく増えており、資金の流入が続いてきたことがうかがえます。

分配金を見るときに押さえておきたいこと

運用会社の資料には、収益分配金についての一般的な留意事項も記されています。分配金は預貯金の利息とは異なり、投資信託の純資産から支払われるものだという点です。分配金は、その計算期間に生まれた収益(経費を引いた後の配当等収益や、評価益を含む売買益)を超えて支払われる場合があります。その場合、決算日の基準価額は前の期の決算日と比べて下がることになります。

分配金は、預貯金の利息とは違います。だから、分配金の水準がそのままファンドの収益率を表しているわけではない、と資料は説明しています。毎月150円という金額の安定感と、その原資が何でまかなわれているかは、分けて見る必要があります。

まとめ

「世界のベスト」がコロナショックで分配金を減らしたか、という問いに対する一次資料上の答えは、次のように整理できます。

  • コロナ禍でも分配金は各月150円で据え置かれ、金額の引き下げは行われなかった。コロナショックをまたぐ第73期〜第78期の合計は1万口当たり900円
  • ただし原資の中身を見ると、この6期はすべて分配金150円の全額が「当期の収益以外」から支払われ、当期の収益からの拠出はなかった
  • その間、分配の余力である翌期繰越分配対象額は9,881円から9,132円へ、749円目減りした
  • 同じ状態は2021年12月〜2022年6月の下落局面でも6期連続で確認でき、下落局面に共通して見られる傾向といえる
  • 2025年下半期の上昇局面では、収益と収益以外が入れ替わりながら混在しており、原資の中身は相場によって変わる
  • 分配金は純資産から支払われ、収益を超えて分配されると基準価額の下落要因になる。金額の安定と原資の中身は分けて見る必要がある

毎月分配型の投資信託を横断的に比較・検討したい場合は、こうした原資の仕組みを踏まえたうえで、別記事のランキングも判断材料になります。

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※この記事は運用会社インベスコ・アセット・マネジメントが公表した運用報告書(全体版)(対象期間 第73期〜第78期/2019年12月24日〜2020年6月23日)、早わかりガイドブック(2023年2月版)および交付運用報告書(第139期〜第144期)の数値に基づく解説であり、特定の金融商品・証券会社の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。制度・数値は執筆時点の公開情報に基づきます。(最終更新:2026年8月10日)

公式情報で確認した資料

過去の分配金と運用実績は、確認日時点で公開されているインベスコのファンド情報・運用レポートをもとにしています。過去の実績は将来の分配金を保証するものではありません。

  • インベスコ|世界のベスト
  • インベスコ|世界のベストのレポート・動画

関連する前提は、世界のベストの評判、毎月分配型投信のデメリットでも確認できます。

最終更新日:2026年8月20日

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世界のベストは分配金を維持できるか、毎月分配型投信のデメリットもあわせてご覧ください。

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