「世界のベスト」――インベスコ世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)は、毎月分配型投信のなかでも純資産総額が突出して大きい、いわゆる人気ファンドです。一方で、検索窓には「世界のベスト やめとけ」「インベスコ世界厳選株式 デメリット」といった言葉が並び、評価が割れているのも事実です。
その多くは「分配金利回りが約20%もあるのは怪しい」「基準価額が1万円を割っている=タコ足配当では」という論点に集約されます。ただ、このファンドを正しく評価するには、利回りの数字だけでなく「分配金の原資が健全かどうか」「中身がどんな銘柄で構成されているか」まで踏み込む必要があります。
※あらかじめお断りしておくと、「世界のベスト」には決算頻度が異なる「年1回決算型」「奇数月決算型」も存在します。本記事で扱うのは、毎月分配を行う「毎月決算型」のみです。
本記事は、毎月分配型投信ランキングTOP5で1位として紹介した「世界のベスト」を、公表データをもとに一段深く掘り下げる位置づけです。ランキング記事が「概要」なら、本記事は「健全性と中身の検証」にあたります。断片的な情報が入り混じっているテーマなので、出典を示しながら整理します。

本記事で検証した結論を、先にまとめます。
- 「タコ足配当」は月によっては事実ですが、毎月すべてがそうというわけではありません。直近6期のうち半分は、分配金150円が全額当期の収益からの分配でした。
- 分配金を再投資したと仮定したトータルリターンは設定来+431.6%(2025年9月末時点・信託報酬控除後)で、運用そのものはプラスを保っています。基準価額の1万円割れとは矛盾しません。
- 信託報酬1.903%は低コストの指数型より割高ですが、同じアクティブ・分配型のグローバル株式ファンドと並べると突出して高いわけではありません。
- 毎月決算型はNISA成長投資枠の対象外です。資産を増やす時期の人には不向きとされ、毎月の受け取りを重視する層に向くとされています。
世界のベスト(インベスコ世界厳選株式)とはどんなファンドか
まず基本情報を事実として押さえます。
| 正式名称 | インベスコ世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)/愛称「世界のベスト」 |
|---|---|
| 運用会社 | インベスコ・アセット・マネジメント |
| 設定日 | 1999年1月7日(2016年9月に毎月決算型へ変更、2017年1月より毎月分配を開始) |
| 運用方式 | ファミリーファンド方式。「成長・配当・割安」の3観点で世界の優良株を厳選するアクティブ・バリュー運用 |
| 純資産総額 | 約4.14兆円(2026年7月16日時点) |
| 分配タイプ | 毎月決算型(予想分配金提示型ではない) |
ポイントは、設定から25年以上の運用実績を持つファンドが、途中から毎月分配へ舵を切った商品だという点です。愛称の「ベスト」や「世界の高配当」というイメージから高配当株ファンドと誤解されがちですが、実際の中身はのちほど見るとおり「優良株を割安な水準で厳選する」タイプの運用です。
(出典: インベスコ販促資料2025年11月版、ウエルスアドバイザー ファンドコード18312991)
純資産総額は5年で約68倍、一方で基準価額はほぼ横ばい
このファンドの性格を最もよく表すのが、基準価額と純資産総額の推移です。下のグラフは、2020年5月から2026年2月までの月末値(月次70ヶ月)を、基準価額(左軸)と純資産総額(右軸)で並べたものです。

グラフを見ると、二つの線がまったく異なる動きをしていることが分かります。基準価額(緑の線)は7,600〜9,900円台のレンジでほぼ横ばいを続けている一方、純資産総額(オレンジの面)は2020年5月の約282億円から2026年2月には約3.34兆円まで、右肩上がりで急拡大しています。決算日ベースで見ても、純資産総額は2020年12月の453.01億円から2025年12月の3兆864.86億円へと、5年間で約68倍に膨らみました。
基準価額が伸びていないのに資金だけが集まり続けている――この一見ちぐはぐな構図が、「基準価額が1万円割れなのになぜ人気なのか」「タコ足配当ではないか」という疑問の出発点になっています。この点を、次章以降で分配金の中身から検証します。
(出典: 基準価額・純資産総額はYahoo!ファイナンス月末値、純資産総額の決算日ベース数値は交付運用報告書2025年12月23日決算 P.13)
コストの内訳:信託報酬1.903%には何が含まれるか
「信託報酬が高い」という指摘の根拠となる数字を、正確に確認します。
- 実質信託報酬:年率1.903%(税抜1.73%)
- その他費用:監査費用等として年率0.11%(税抜0.10%)を上限に別途かかる
- 購入時手数料:上限3.30%(税抜3.00%)。ただし楽天証券・SBI証券では購入時手数料は無料(0円)です(楽天証券公式サイトで本ファンドの「買付手数料 なし」を確認。SBI証券も投資信託の買付手数料は原則無料)。上限3.30%はあくまで販売会社が設定できる上限であり、実際にかかる料率は購入する金融機関によって異なります
- 信託財産留保額:換金時に0.30%
信託報酬1.903%は、委託会社・販売会社・受託会社の3者で配分されますが、その内訳比率は本記事執筆時点では公表資料で確認できませんでした。ここでは合計値としての1.903%までにとどめます。
低コストのインデックス型と比べると割高であることは、後述する「やめとけ」の主な論拠の一つです。ただし、コストの高低は「アクティブ運用でその費用に見合うリターンを出せているか」とセットで見る必要があります。この点は次章のトータルリターンで検証します。
(出典: インベスコ販促資料2025年11月版)
分配金利回り約20%の中身と「健全性」をどう見るか
本記事の核心はここです。「利回り約20%」という数字が独り歩きしやすいテーマなので、順を追って整理します。
直近の分配金と基準価額
分配金は、直近13ヶ月(2025年6月〜2026年6月)すべて1万口あたり月150円で固定されています。年換算では1,800円、設定来の累計分配金は20,350円(2026年6月時点)に達します。
決算日である2026年6月23日時点の基準価額は8,923円。これを基準に計算すると、分配金利回りは「150円×12ヶ月÷8,923円=約20%」となります。なお、決算から約1ヶ月後の2026年7月16日時点の基準価額は9,269円で、基準価額は日々変動します。利回りは決算日ベースで見るのが実態に近い数字です。
ここで押さえておきたいのは、この「約20%」は運用で年20%増えていることを意味しない、という点です。毎月の分配金には、運用益から支払われる部分と、投資家自身の元本から払い戻される部分が含まれる場合があります。この論点は毎月分配型投信のデメリットでも詳しく扱っています。

「普通分配金:特別分配金」の比率は単一の公表値が存在しない
「タコ足配当かどうか」を判断する材料として、普通分配金(運用益からの分配)と特別分配金(元本の払い戻し)の比率を知りたくなります。しかし、この比率はファンド全体としての単一の公表値が存在しません。
理由は、普通か特別かの区分が投資家ごとの個別元本(購入した価格)によって決まるためです。同じ月の同じ150円の分配金でも、基準価額が安いときに購入した人には普通分配金として、高いときに購入した人には一部が特別分配金として扱われる、という仕組みです。したがって「このファンドは○割がタコ足」という一律の数字を示すことは、構造上できません。ネット上でこの比率を断定している情報を見かけたら、その根拠を確認する必要があります。
ただし、「ファンド全体として、毎期の分配金のうちどれだけを運用収益でまかない、どれだけを元本の払い戻し(元本の取り崩し)でまかなったか」は、運用報告書に期ごとの実額として開示されています。これは投資家個人の税務上の区分(普通分配金・特別分配金)とは別の切り口で、ファンド全体の公式データです。下のグラフは、直近6期(第139期〜第144期)の1万口あたり150円の分配金の内訳を示したものです。

グラフから読み取れるのは、月によって内訳が大きく変わることです。第139期(2025年7月)・第142期(2025年10月)・第144期(2025年12月)は150円全額が当期の収益からの分配でした。一方で、第140期(2025年8月)は150円のうち元本の払い戻しが122円、第141期(2025年9月)は元本136円、第143期(2025年11月)は元本147円と、分配金の大半が元本の払い戻しになった期もあります。
つまり、ファンド全体として見ても、毎月の運用収益だけで150円をまかなえる月と、収益が足りず元本を取り崩して分配に充てる月の両方がある、という実態が確認できます。これ自体は毎月分配型ファンドに共通する仕組みで、ただちに「運用が失敗している」ことを意味するものではありません。運用全体としてプラスかどうかは、次に見るトータルリターンで判断します。
(出典: 交付運用報告書2025年12月23日決算 P.16。1万口当たりの分配金内訳)
再投資ベースのトータルリターンで見ると運用そのものは機能している
比率が出せない代わりに、運用が健全かどうかを判断できる指標があります。「分配金を再投資したと仮定したトータルリターン」です。これは、支払った分配金をすべてファンドに戻したと仮定して計算する、運用の実力に近い数字です。
| 期間 | トータルリターン(分配金再投資ベース) |
|---|---|
| 1年 | +16.6% |
| 3年 | +102.9% |
| 5年 | +197.3% |
| 設定来 | +431.6% |
(2025年9月末時点、信託報酬控除後。出典: インベスコ販促資料2025年11月版)
ここから読み取れるのは、次のような構図です。分配金を再投資したと仮定すればトータルでは大きくプラス、つまり運用そのものは機能していると考えられます。一方で、毎月150円という高い水準を実際に払い出し続けるため、受け取り続ける限り、払い出し後の基準価額は8,900〜9,300円台と1万円割れが続きます。
この「再投資すれば増えるが、受け取り続けると基準価額は横ばい」という関係を、決算日ベースで並べたのが下のグラフです。分配金を再投資したと仮定した基準価額(緑の実線)と、実際に分配金を受け取り続けた場合の基準価額(グレーの破線)を、2020年12月から2025年12月まで年次で比較しています。

両者は同じ約8,704円(2020年12月)から出発しています。そこから、分配金を再投資したと仮定した基準価額(緑)は2025年12月に約24,145円まで上昇する一方、分配金を受け取り続けた場合の基準価額(グレー)は8,972円とほぼ横ばいのままです。この差、およそ1万5,000円分が、この5年間に毎月の分配金として払い出された金額にあたります。
グラフが示すのは、「運用で増えた分を毎月抜き出して受け取っているため、手元に残る基準価額は増えない」という構図です。裏を返せば、増えた分をファンド内に残していれば基準価額も伸びていた、ということでもあります。ここが、分配金を「使う」か「増やす」かで評価が正反対になる理由です。
(出典: 交付運用報告書2025年12月23日決算 P.13。分配金再投資基準価額は分配金を非課税で再投資したと仮定した概算値)
「トータルリターンはプラス」と「基準価額は1万円割れ」は、一見矛盾しているようで矛盾しません。増えた分を毎月抜き出して受け取っている、と捉えると整理がつきます。したがって「基準価額が1万円を割っている=運用が下手なタコ足ファンド」という単純化は、事実とは必ずしも一致しません。ここが、他の毎月分配型ファンドと評価が分かれるポイントです。
ただし、これは「元本の払い戻しが一切ない」という意味ではありません。前述のとおり、期によっては分配金の大半が元本の払い戻しでまかなわれており、個々の投資家にとって特別分配金が発生する可能性も残ります。あくまで「ファンド全体の運用は、費用を差し引いてもプラスのリターンを生んでいる」という限定つきの評価です。
中身は「高配当株の詰め合わせ」ではない
「世界のベスト」という愛称から高配当株ファンドを連想しがちですが、実際の組入銘柄を見ると印象が変わります。以下は2025年9月末時点のデータで、記事公開時点の最新構成とはズレがある点にご留意ください。
組入上位10銘柄(全43銘柄・2025年9月末時点)
| 順位 | 銘柄 | 国・業種 | 純資産比 |
|---|---|---|---|
| 1 | 3iグループ | 英・金融 | 6.5% |
| 2 | ロールス・ロイス・ホールディングス | 英・資本財 | 5.4% |
| 3 | マイクロソフト | 米・情報技術 | 5.3% |
| 4 | カナディアン・パシフィック・カンザス・シティ | 加・資本財 | 5.3% |
| 5 | テキサス・インスツルメンツ | 米・情報技術 | 4.4% |
| 6 | コカ・コーラ・ユーロパシフィック・パートナーズ | 蘭・生活必需品 | 4.2% |
| 7 | AIAグループ(友邦保険控股) | 香港・金融 | 4.1% |
| 8 | ASMLホールディング | 蘭・情報技術 | 4.0% |
| 9 | イースト・ウエスト・バンコープ | 米・金融 | 2.9% |
| 10 | ユニオン・パシフィック | 米・資本財 | 2.7% |
業種別・国地域別の配分
業種別では、資本財・サービス28.0%、金融24.2%、情報技術16.9%が上位を占めます。以下、一般消費財・サービス9.0%、ヘルスケア6.6%、生活必需品5.7%、コミュニケーション・サービス3.4%、不動産2.4%、エネルギー2.1%、素材0.4%と続きます。
国・地域別では、北米75.8%、欧州16.2%、日本5.4%、アジア太平洋(除く日本)2.6%です。
こうして中身を見ると、資本財・情報技術・金融を中心とした優良株の厳選型であり、いわゆる高配当株だけを集めたファンドではないことが分かります。分配金の高さは、運用で生み出したリターンを毎月払い出す設計から来ているのであって、組入銘柄そのものが超高配当株ばかりというわけではありません。
なお、同種のファンドとの相対評価として、モーニングスターの「外国株式・世界(為替ヘッジなし)」カテゴリーで3年・5年ともに上位10%以内という集計もあります(インベスコ自社集計、年1回決算型ベースの記載である点には留意が必要です)。
(出典: インベスコ販促資料2025年11月版)
「やめとけ」「評判」で語られる4つの懸念点
ここまでを踏まえ、否定的な評価としてどのような指摘があるのかを整理します。いずれも第三者の記事などで実際に語られている論点で、断定ではなく「そうした指摘がある」ものとして紹介します。
- タコ足配当への懸念:分配金が必ずしも運用益だけから出ているとは限らず、基準価額が設定来の1万円を下回る水準で推移していることを問題視する声。
- 信託報酬が高いという批判:年率1.903%は投資額の約2%が毎年差し引かれる計算で、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(通称「オルカン」。信託報酬0.05775%)などの低コスト指数型と比べて割高だという比較。
- ベンチマークに劣後する期間があるという指摘:世界株式指数と比べて、局面によっては見劣りする時期があるという指摘。
- NISA対象外:毎月決算型はNISAの成長投資枠の対象外(対象は年1回決算型・奇数月決算型のみ)で、長期の非課税積立には使えないという指摘。
これらの指摘は、いずれも事実の一端を突いています。ただし「常にそうだ」という一律の断定になると、公表データと食い違う部分も出てきます。以下、4つの指摘それぞれについて、批判が当てはまる部分と、誇張・不正確な部分を分けて補足します。ファンドを持ち上げるためではなく、読者が多角的に判断できるよう、事実で肉付けする趣旨です。
①「タコ足配当」への補足:月によっては事実だが、一律ではない
「タコ足配当」という表現は、月によっては事実です。前述のとおり、直近6期のうち第140期(8月)・第141期(9月)・第143期(11月)は、分配金150円の大半(それぞれ元本122円・136円・147円)が元本の払い戻しでまかなわれており、この3期を切り取れば「タコ足」と呼ぶのは正確です。一方、第139期(7月)・第142期(10月)・第144期(12月)は150円全額が当期の収益からの分配でした。6期の内訳はおおむね半々で、「毎月すべてがタコ足」という一律の批判は事実と一致しません。
加えて、分配金を再投資したと仮定したトータルリターンは設定来+431.6%(2025年9月末時点・信託報酬控除後)で、運用そのものはプラスを生んでいます。「基準価額が1万円割れ=運用が破綻したタコ足ファンド」という単純化は当たらない一方、期によっては元本を取り崩して分配に充てている事実は残ります。この両面を踏まえて見るのが実態に近いと言えます。
②「信託報酬が高い」への補足:同種のファンドと比べると突出はしていない
年率1.903%が低コストのインデックス型より割高であること自体は事実です。ただし、比較対象として引き合いに出される「オルカン」(信託報酬0.05775%)はパッシブ運用(指数に機械的に連動させる運用)であり、銘柄を厳選するアクティブ運用の本ファンドとは運用スタイルが異なります。運用者が個別に調査・選定するアクティブ運用は、パッシブ運用よりコストが高くなるのが一般的で、「約30倍」という比較はスタイルの違う商品同士を並べたものです。同じアクティブ運用・分配型のグローバル株式ファンドで相場観を確認すると、次のようになります。
| ファンド | 信託報酬(税込・年率) |
|---|---|
| ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型) | 1.81% |
| キャピタル世界株式ファンド | 1.694%(※販社の目論見書表記では、投資対象ファンドのコストを含め最大2.288%との記載もあり) |
| アライアンス・バーンスタイン・世界高成長株投信(隔月決算・予想分配金提示型) | 1.6797% |
| 世界のベスト(本ファンド) | 1.903% |
こうして同種のファンドと並べると、1.903%は相場のやや高め〜上限付近に位置するものの、突出して高いわけではありません。ただし、アクティブ運用は必ずしもインデックスに勝てるとは限らず、コスト差に見合うリターンが出ているかは別途判断が必要です(前述の再投資ベースのトータルリターンを参照)。
(出典: 楽天証券ファンド詳細ページ/みんかぶ投信/大和証券目論見書表記。2026年7月確認)
③「ベンチマークに劣後する期間がある」への補足:直近2年は事実、5年通算では上回る年が多い
「ベンチマークに劣後する期間がある」という指摘は事実です。ただし、どの期間を指すかで見え方が変わります。分配金再投資基準価額の騰落率を、MSCIワールド(円換算)と決算日ベースで年次比較すると次のようになります。
| 決算日 | 本ファンド騰落率 | MSCIワールド(円換算)騰落率 | 差 |
|---|---|---|---|
| 2021/12/23 | +33.1% | +32.7% | +0.4pt(上回る) |
| 2022/12/23 | +4.3% | △5.3% | +9.6pt(上回る) |
| 2023/12/25 | +36.3% | +30.6% | +5.7pt(上回る) |
| 2024/12/23 | +23.2% | +32.0% | △8.8pt(下回る) |
| 2025/12/23 | +19.0% | +21.0% | △2.0pt(下回る) |
直近5年のうち、2021〜2023年の3年間はベンチマークを上回り、2024〜2025年の直近2年間は下回っています。「常に指数に負けている」わけではなく、5年間の通算では上回った年の方が多い一方、直近2年は見劣りしているのも事実です。アクティブ運用は指数に勝つ年・負ける年が入れ替わるため、足元だけを切り取るか5年で見るかで評価が変わる点を踏まえて判断する必要があります。
(出典: 交付運用報告書2025年12月23日決算 P.13)
④「NISA対象外」への補足:運用がNISA不可なのではなく、コース選択の問題
毎月決算型がNISAの成長投資枠の対象外であることは事実です。ただし、これは「世界のベスト」という運用そのものがNISAで持てないという意味ではなく、「毎月決算型」というコースを選んだ結果です。同じマザーファンド(インベスコ 世界先進国株式 マザーファンド)に投資する、決算頻度違いのきょうだいファンドが存在します。
| コース | ファンドコード | 決算頻度 | NISA成長投資枠 | 信託報酬 |
|---|---|---|---|---|
| 毎月決算型(本ファンド) | JP90C0002EX1 | 毎月 | 不可 | 1.903% |
| 年1回決算型 | JP90C000GWS7 | 年1回(12/23) | 可能 | 1.903% |
| 奇数月決算型 | JP90C000Q1B8 | 奇数月(年6回) | 可能 | 1.903% |
運用の中身(組入銘柄・運用方針)は3コースとも共通で、信託報酬も同じ1.903%です。異なるのは決算・分配の頻度と、NISA成長投資枠の可否だけです。非課税メリットを取りたい人は、年1回決算型または奇数月決算型を選べば、同じ運用にNISAで投資できます(ただしその場合、毎月の分配金は受け取れません)。「世界のベストはNISAで買えない」と一括りにするのは正確ではなく、正しくは「毎月決算型はNISA対象外」です。
(出典: 楽天証券ファンド詳細ページ 各ファンドコードの「NISA成長投資枠」欄。2026年7月18日確認)
このように、4つの指摘はいずれも事実の一端を突いていますが、「常にタコ足」「指数に負け続けている」「世界のベストはNISAで買えない」といった一律の断定は、必ずしも正確ではありません。そして、これらの弱点の多くは「資産を増やす目的」で見たときのものです。次章のとおり、目的が変わると評価も変わります。
向いている人・向いていない人
このファンドの評価が割れる最大の理由は、想定されている使い方にあります。毎月決算型は、資産を大きく増やすことよりも、運用を続けながら毎月一定の分配金を受け取り続けることを前提に設計された商品です。制度上もNISAの対象外であり、課税口座での定期的な受け取りを前提とした位置づけと言えます。
| 向いているとされる人 | 60代以降で、年金に加えて毎月の定期収入が欲しい人/自分で定期的に売却の注文を出すのが面倒、あるいは心理的に難しいと感じる層 |
|---|---|
| 向いていないとされる人 | 20〜50代の資産形成期の人。高い信託報酬と毎月分配による複利効果の逸失、NISA(成長投資枠)の対象外であることが理由として挙げられる |
つまり「資産を増やす時期」の人にとっては割高で非効率になりやすく、「資産を使っていく時期」の人にとっては毎月現金が振り込まれる仕組みに価値がある、という整理です。同じファンドでも、ライフステージによって評価が正反対になります。
なお、資産形成期の人が同じ毎月分配型のなかで他の選択肢と比べたい場合は、毎月分配型投信ランキングで2位に入ったフィデリティ・グロース・オポチュニティDや、3位のWCM世界成長株厳選ファンドも比較対象になります。それぞれ運用スタイルやコストが異なるため、個別記事で中身を確認したうえで見比べてみてください。


よくある質問
Q. 世界のベストは本当にタコ足配当ですか?
A. 月によっては事実です。直近6期でみると、第140期(2025年8月)・第141期(9月)・第143期(11月)は分配金150円の大半が元本の払い戻し(それぞれ元本122円・136円・147円)でまかなわれた一方、第139期(7月)・第142期(10月)・第144期(12月)は150円全額が当期の収益からの分配でした。内訳はおおむね半々で、「毎月すべてがタコ足」という一律の見方は公表データと一致しません。加えて、分配金を再投資したと仮定したトータルリターンは設定来+431.6%(2025年9月末時点・信託報酬控除後)で、運用全体としてはプラスを保っています。
Q. 世界のベストはNISAで買えますか?
A. 本記事で扱う毎月決算型は、NISAの成長投資枠の対象外です。ただし、同じマザーファンドに投資する年1回決算型・奇数月決算型はNISAの成長投資枠の対象で、運用の中身(組入銘柄・運用方針)は3コースとも共通です。非課税で持ちたい場合は年1回決算型または奇数月決算型を選ぶ方法があります(その場合、毎月の分配金は受け取れません)。
Q. 信託報酬1.903%は高すぎませんか?
A. 低コストのインデックス型(例: eMAXIS Slim 全世界株式=信託報酬0.05775%)と比べれば割高です。ただし、これはパッシブ運用とアクティブ運用というスタイルの違う商品を並べた比較です。同じアクティブ・分配型のグローバル株式ファンド(ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド1.81%など)と並べると、1.903%は相場のやや高め〜上限付近ではあるものの、突出して高いわけではありません。
まとめ
「世界のベスト」について、本記事で確認した事実を整理します。
- 純資産総額は2020年12月の453.01億円から2025年12月の3兆864.86億円へ5年で約68倍に拡大した一方、基準価額はほぼ横ばいで推移している。
- 分配金利回り約20%は決算日基準(150円×12÷8,923円)の表面利回りで、運用で年20%増える意味ではない。
- 普通分配金と特別分配金の比率は個別元本で決まるため、ファンド全体の単一値は存在しない。ただしファンド全体では、直近6期のうち分配金150円が全額当期の収益だった期もあれば、大半が元本の払い戻しだった期(例: 第143期は147円が元本払戻)もあり、月ごとにばらつきがある。
- 分配金再投資ベースのトータルリターンは設定来+431.6%(2025年9月末時点・信託報酬控除後)で、運用そのものは機能していると考えられる。基準価額の1万円割れとは矛盾しない。
- 中身は資本財・情報技術・金融中心の優良株厳選型で、高配当株だけの詰め合わせではない(組入データは2025年9月末時点)。
- 信託報酬1.903%は指数型より割高で、NISA非対象。資産形成期には不向きとされ、定期的な受け取りを求める層に向くとされる。
※本記事は公表資料をもとにした情報整理であり、特定のファンドや証券会社を推奨するものではありません。数値は各出典の時点のものです。投資の最終判断は、最新の交付目論見書・運用報告書をご確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。
(主な出典: インベスコ・アセット・マネジメント 販促資料2025年11月版/分配金のお知らせ2026年6月/交付運用報告書2025年12月23日決算、ウエルスアドバイザー ファンドコード18312991。2026年7月時点)



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