最終更新日:2026年8月2日
さわかみファンドは、さわかみ投信株式会社が運用する追加型投信/内外/資産複合のファンドです。1999年8月24日の設定で、2026年7月31日時点の純資産総額は5,028億7,500万円、基準価額は50,012円。信託期間は無期限、決算は毎年8月23日(休業日の場合は翌営業日)の年1回です。販売会社はさわかみ投信1社のみで、購入時手数料と信託財産留保額はどちらもありません。(出典:さわかみ投信「運用状況」2026年7月31日現在の表示、投資信託説明書(交付目論見書)2026年5月23日使用開始版)
検索窓に「さわかみファンド」と入れると「やばい」「怪しい」が続きます。理由に挙がるのは信託報酬1.1%の高さ、TOPIXに届いていない成績、直販という買い方の3つ。どれも公表資料で確認できる話ですが、根拠として引かれている数字は、運用会社の公表値をそのまま並べたものがほとんどです。
信託報酬は年1.10%(税込)。交付目論見書には純資産総額を5段階に区切った配分表が載っていて、見た目は規模が大きくなるほど下がる逓減型です。ところが各段の委託会社・販売会社・受託会社の取り分を足すと、どの段も1.100%になります。下がっているのは受託会社の取り分だけで、その分は委託会社の取り分に移っています。純資産がいくら増えても、投資家が払う率は変わりません。(出典:投資信託説明書(交付目論見書)2026年5月23日使用開始版「ファンドの費用・税金」。各段の合計はにーと算出)
実際に引かれた額のほうも見ておきます。運用報告書(全体版)の損益計算書に載る第26期の信託報酬等は45億4,913万7,751円。同じ期の平均組入株式時価総額3,554億398万円で割ると年1.2800%です。信託報酬は株式に投じていない現金部分にもかかるためで、第26期末の資産別配分は現金等が19.3%でした。(出典:運用報告書(全体版)第26期「損益の状況」「株式売買金額の平均組入株式時価総額に対する割合」、交付運用報告書 第26期「資産別配分」。割り算はにーと算出)
同じ手順で公表資料を並べ直すと、ほかにも見え方の変わる数字が出てきます。第26期の株式売買高比率は0.34倍で、理論上の平均保有期間は約5年10ヵ月。会社提案の議案1,640件のうち反対したのは2件。ファンド仲間の数は5期で12.3%増えた一方、受益権総口数は5.0%減りました。
さわかみファンドとはどんなファンドか
委託会社はさわかみ投信株式会社、受託会社は野村信託銀行株式会社です。さわかみ投信は1996年7月4日設立、資本金3億2,000万円。同社が運用する投資信託はさわかみファンド1本で、2026年3月末日現在の運用資産合計は4,628億円と目論見書に記載されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | さわかみファンド |
| 委託会社(運用) | さわかみ投信株式会社(関東財務局長(金商)第328号) |
| 受託会社 | 野村信託銀行株式会社 |
| 設定日 | 1999年8月24日 |
| 信託期間 | 無期限(償還期限なし) |
| 商品分類 | 追加型投信/内外/資産複合 |
| 属性区分 | 資産複合(株式、債券)/資産配分変更型/年1回決算/グローバル(日本を含む)/為替ヘッジあり(適時ヘッジ) |
| 決算日 | 毎年8月23日(休業日の場合は翌営業日)・年1回 |
| ベンチマーク | 設けていない |
| 参考指数 | 設けていない(適切に比較できる指数がないため) |
| 信託報酬(税込) | 純資産総額に対して年1.10%(税抜年1.00%) |
| 購入時手数料 | なし |
| 信託財産留保額 | なし |
| 販売会社 | さわかみ投信株式会社のみ(直販) |
| 購入単位 | 10,000円以上1円単位 |
| 換金単位 | 1円以上1円単位の金額指定、または全額換金(口数指定は不可) |
| 解約代金の支払い | 申込受付日を含めて5営業日目 |
| 分配 | 分配金再投資専用。設定来の分配金は0円 |
| 基準価額 | 50,012円(2026年7月31日現在、前日比+214円) |
| 純資産総額 | 5,028億7,500万円(2026年7月31日現在) |
| NISA | 成長投資枠のみ対象(つみたて投資枠は対象外) |
買えるのはさわかみ投信の口座だけです。SBI証券や楽天証券などのネット証券では取り扱っておらず、証券口座を持っていても、このファンドを買うには別途さわかみ投信に口座を開く必要があります。逆に、購入時手数料も信託財産留保額もかからないので、買うとき・売るときの直接コストはゼロです。
運用資産の中身は毎月すべて開示されています。2026年7月31日時点の組入銘柄は155銘柄で、銘柄ごとの保有株数・取得単価・株価・評価額・評価損益・組入比率・持株比率まで公開されており、資産構成は国内株式78.82%、外国株式3.14%、現金等18.04%でした。(出典:さわかみファンド ポートフォリオ・2026年7月31日現在)
信託報酬1.10%は、純資産が5,000億円になっても下がらない
コストの話は、どの表を見ているかで印象が変わります。さわかみファンドの信託報酬には、目論見書に載る料率の本文、その下にある5段階の配分表、交付運用報告書の1万口当たり費用明細、同じ報告書の総経費率という4つの入口があり、それぞれ数字の意味が違います。
5段階の配分表は、どの段も合計が1.100%になる
目論見書の本文には、信託報酬の総額は計算期間を通じて毎日、純資産総額に年1.10%(税抜年1.00%)を乗じて得た額とする、と書かれています。その下に、委託会社・販売会社・受託会社の配分が純資産総額の区分ごとに並びます。
| 純資産総額の区分 | 委託会社 | 販売会社 | 受託会社 | 合計(税込) |
|---|---|---|---|---|
| 2,000億円以下の部分 | 0.605% | 0.385% | 0.110% | 1.100% |
| 2,000億円超2,500億円以下の部分 | 0.627% | 0.385% | 0.088% | 1.100% |
| 2,500億円超3,000億円以下の部分 | 0.649% | 0.385% | 0.066% | 1.100% |
| 3,000億円超3,500億円以下の部分 | 0.671% | 0.385% | 0.044% | 1.100% |
| 3,500億円超の部分 | 0.693% | 0.385% | 0.022% | 1.100% |
区分は5段ありますが、合計はすべて1.100%です。純資産が2,000億円でも5,000億円でも、投資家の負担は年1.10%のまま動きません。
下がっているのは受託会社の取り分だけ。0.110%から0.022%へ
段が上がるにつれて受託会社の取り分は0.110%から0.022%まで、5分の1に下がります。同じだけ委託会社の取り分が0.605%から0.693%へ上がり、販売会社の0.385%は全段で固定です。規模が大きくなったときに生まれた余地は、受託会社から委託会社へ移っているだけで、投資家には戻ってきません。
2026年7月31日の純資産5,028億7,500万円を、この表のとおり段ごとに分けて計算すると、委託会社0.6449%、販売会社0.3850%、受託会社0.0701%、合計1.1000%。年間の信託報酬額はおよそ55億3,200万円になります。3,500億円超の部分は1,528億7,500万円あり、ここには委託会社の最高料率0.693%が適用されます。(出典:交付目論見書の配分表と2026年7月31日の純資産総額から、にーとが加重平均を算出)
5期の総経費率の内訳でも、投信会社は0.60%から0.64%へ動いた
この構造は、交付運用報告書の総経費率の内訳にも表れています。第22期から第26期までの5期分を並べたものが次の表です。
| 決算期(決算日) | 期末純資産総額 | 投信会社 | 販売会社 | 受託会社 | 総経費率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 第22期(2021年8月23日) | 3,401億4,881万円 | 0.60% | 0.38% | 0.11% | 1.09% |
| 第23期(2022年8月23日) | 3,500億7,539万円 | 0.60% | 0.38% | 0.11% | 1.10% |
| 第24期(2023年8月23日) | 3,809億6,324万円 | 0.60% | 0.38% | 0.11% | 1.10% |
| 第25期(2024年8月23日) | 4,203億3,585万円 | 0.62% | 0.38% | 0.09% | 1.10% |
| 第26期(2025年8月25日) | 4,291億5,963万円 | 0.64% | 0.39% | 0.08% | 1.11% |
純資産は5期で3,401億円から4,291億円へ26.2%増えました。その間に投信会社の取り分は0.60%から0.64%へ上がり、受託会社は0.11%から0.08%へ下がっています。総経費率のほうは1.09%から1.11%で、下がる方向には動いていません。(増減率はにーと算出)
規模の拡大が投資家の負担に反映される設計になっているファンドもあります。同じ日本株のアクティブファンドで、純資産の増加に応じて信託報酬そのものが3段階で下がる例は、別記事で費用明細まで確認しています。

実額を株式運用部分で割ると年1.28%。差は0.18ポイント
1.10%という料率は、純資産総額にかかります。純資産には株式だけでなく、コール・ローンなどの現金等も含まれます。つまり、株式に投じていない部分にも同じ率で信託報酬がかかっている、ということです。
第26期の信託報酬等は45億4,913万7,751円
運用報告書(全体版)の損益計算書に、実際に信託財産から引かれた額が円単位で載っています。第26期(2024年8月24日〜2025年8月25日)の信託報酬等は4,549,137,751円。消費税相当額を含んだ額です。同じ期の配当等収益は82億3,317万5,113円、有価証券売買損益は142億3,338万4,816円でした。(出典:運用報告書(全体版)第26期「損益の状況」)
平均組入株式時価総額3,554億円で割ると1.2800%
同じ報告書の「株式売買金額の平均組入株式時価総額に対する割合」の欄に、期中の平均組入株式時価総額が355,403,977千円と載っています。各月末の組入株式時価総額の単純平均です。信託報酬等の実額をこの金額で割ると年1.2800%。株式に投じられていた平均額に対して、実質1.28%を払っていた計算になります。
| 決算期 | 信託報酬等(実額・税込) | 期中の平均組入株式時価総額 | 株式基準の実効率 | 1.10%との差額 |
|---|---|---|---|---|
| 第22期 | 36億856万円 | 3,021億7,679万円 | 1.1942% | 2億8,462万円 |
| 第23期 | 37億3,859万円 | 3,059億5,287万円 | 1.2219% | 3億7,310万円 |
| 第24期 | 38億6,213万円 | 3,030億6,755万円 | 1.2743% | 5億2,839万円 |
| 第25期 | 45億5,549万円 | 3,632億9,688万円 | 1.2539% | 5億5,922万円 |
| 第26期 | 45億4,914万円 | 3,554億398万円 | 1.2800% | 6億3,969万円 |
第26期の差額は6億3,969万4,004円。この分が、株式以外の資産にかかった信託報酬にあたります。5期を通して見ると、実効率は1.1942%から1.2800%へ0.09ポイント上がりました。現金比率が上がるほど、株式で運用されている金額に対する実質的な負担は重くなります。
なお、平均組入株式時価総額は各月末の単純平均で、信託報酬は日々の純資産にかかります。両者は測り方が違うため、この1.2800%は概算です。ただし、公表の総経費率1.11%が現金部分を含む純資産全体で割った値である以上、株式部分だけを分母にすれば率が上がることは構造上避けられません。
現金等の比率は6.9%から19.3%へ。5期で約2.8倍になった
実効率が上がった理由は、資産配分の変化にあります。
決算日時点の資産別配分の推移
| 決算期(決算日) | 国内株式 | 外国株式 | その他(現金・預金等) | 組入銘柄数 |
|---|---|---|---|---|
| 第22期(2021年8月23日) | 91.3% | 1.8% | 6.9% | 114銘柄 |
| 第23期(2022年8月23日) | 86.2% | 3.0% | 10.8% | 128銘柄 |
| 第24期(2023年8月23日) | 83.6% | 2.8% | 13.6% | 128銘柄 |
| 第25期(2024年8月23日) | 85.0% | 3.4% | 11.5% | 139銘柄 |
| 第26期(2025年8月25日) | 77.6% | 3.0% | 19.3% | 147銘柄 |
現金等は5期で6.9%から19.3%へ、約2.8倍になりました。第26期の運用経過には、年明け以降に現金比率を10%超から12%超へ引き上げ、4月後半にさらに20%程度まで高めた、と書かれています。関税政策による下落局面で下げ幅を軽減できた一方、5月以降の反発局面では現金の多さが値幅を抑えたことも同じ文書に記されています。(出典:交付運用報告書 第26期「当期の運用状況と基準価額の主な変動要因」「ポートフォリオ」)
第26期は買い413億円に対して売り809億円
売買の中身も並べておきます。第22期から第26期まで、5期とも売却額が購入額を上回りました。
| 決算期 | 買い | 売り | 差引 | 期末組入企業数 | うち海外 |
|---|---|---|---|---|---|
| 第22期 | 16社(新規11社)63億円 | 43社(売切3社)245億円 | ▲182億円 | 114社 | 11社 |
| 第23期 | 31社(新規14社)72億円 | 33社(売切1社)174億円 | ▲102億円 | 128社 | 22社 |
| 第24期 | 20社(新規8社)97億円 | 35社(売切8社)243億円 | ▲146億円 | 128社 | 17社 |
| 第25期 | 37社(新規19社)453億円 | 51社(売切8社)502億円 | ▲49億円 | 139社 | 11社 |
| 第26期 | 42社(新規8社)413億円 | 49社(売切0社)809億円 | ▲396億円 | 147社 | 11社 |
組入企業数は114社から147社へ増えています。銘柄を減らして絞り込んだのではなく、1銘柄あたりの持ち高を軽くしながら現金を積み上げた形です。2026年7月31日時点では155銘柄まで増え、現金等は18.04%でした。上位5銘柄は信越化学工業3.63%、ソニーグループ2.86%、ディスコ2.62%、スズキ2.57%、INPEX 2.45%で、最大の1銘柄でも4%に届きません。(出典:さわかみファンド ポートフォリオ・2026年7月31日現在。組入比率はレポート記載値)
株式売買高比率0.34。理論上の平均保有期間は約5年10ヵ月
バイ・アンド・ホールドと言いながら、実際は売買しているのではないか。この見方は、運用報告書(全体版)の株式売買高比率で確認できます。
売買高比率から保有期間を出す手順
売買高比率は、期中の株式売買金額を期中の平均組入株式時価総額で割った値です。分子の売買金額は買付と売付の合計なので、ポートフォリオが1回転すると理論上2.0になります。24を売買高比率で割ればおおよその平均保有期間が月数で出ます。第26期は期中の株式売買金額122,164,443千円、平均組入株式時価総額355,403,977千円で、割ると0.3437です。
| 決算期 | 期中の株式売買金額 | 売買高比率(報告書表示) | 売買高比率(実算) | 理論上の平均保有期間 |
|---|---|---|---|---|
| 第22期 | 309億2,229万円 | 0.10 | 0.1023 | 約19年7ヵ月 |
| 第23期 | 247億2,283万円 | 0.08 | 0.0808 | 約24年9ヵ月 |
| 第24期 | 340億4,963万円 | 0.11 | 0.1123 | 約17年10ヵ月 |
| 第25期 | 955億5,929万円 | 0.26 | 0.2630 | 約7年7ヵ月 |
| 第26期 | 1,221億6,444万円 | 0.34 | 0.3437 | 約5年10ヵ月 |
最も回転が速かった第26期でも約5年10ヵ月。バイ・アンド・ホールドという説明は、数字の上では守られています。ただし比率は第22期の0.10から第26期の0.34へ3.4倍になりました。最も低かった第23期の0.08と比べると4.3倍です(いずれも実算値ベース・にーと算出)。第26期に売買が増えたのは、現金比率を20%程度まで引き上げるために売却を進めたためだと運用報告書に記されています。
売買委託手数料の負担も軽い水準です。第26期の1万口当たり費用明細では、信託報酬425円(1.105%)に対して売買委託手数料6円(0.016%)、有価証券取引税1円(0.003%)で、合計432円(1.124%)。売買委託手数料は信託報酬の約1.4%にとどまります。回転の速いファンドでは総経費率に含まれない売買委託手数料が実質負担を押し上げますが、このファンドではその影響がほとんどありません。(出典:交付運用報告書 第26期「1万口当たりの費用明細」。比率はにーと算出)
ベンチマークも参考指数も設定されていない
TOPIXに勝てていないという指摘を検証しようとすると、最初に壁があります。運用報告書に比較対象が載っていません。
運用報告書は「適切に比較できる指数がない」としている
交付運用報告書の「ベンチマークとの差異」には、運用の成果について目標とするベンチマークを設けておらず、運用方針に対して適切に比較できる参考指数もないため記載事項はない、と書かれています。基準価額等の推移のグラフにも指数の線は引かれていません。(出典:交付運用報告書 第26期「ベンチマークとの差異」「基準価額等の推移」)
参考指数としてTOPIX(配当込み)を掲げているファンドなら、決算期ごとの差を追えます。さわかみファンドの場合、比較対象そのものが用意されていません。
唯一の比較材料は、目論見書の資産クラス比較
公表資料でTOPIXと横並びになるのは、交付目論見書と交付運用報告書に載る「代表的な資産クラスとの騰落率の比較」だけです。過去5年間の各月末における直近1年間の騰落率について、最大値・平均値・最小値を並べたものです。
| 区分 | 最大値 | 平均値 | 最小値 |
|---|---|---|---|
| 当ファンド | 33.8% | 10.6% | △10.4% |
| 日本株(TOPIX配当込み指数) | 50.5% | 17.4% | △7.1% |
| 先進国株(MSCI Kokusai) | 55.7% | 23.3% | △5.8% |
| 新興国株(MSCI EM) | 56.3% | 15.1% | △9.7% |
| 日本国債(NOMURA-BPI国債) | 0.6% | △2.6% | △6.9% |
| 先進国債(FTSE世界国債・除く日本) | 15.3% | 5.4% | △6.1% |
| 新興国債(GBI EM Global Diversified) | 24.5% | 9.5% | △2.7% |
平均値は10.6%対17.4%で、日本株を6.8ポイント下回ります。目を引くのは最小値のほうで、当ファンドが△10.4%、日本株が△7.1%。下落局面での落ち込みは、TOPIXより3.3ポイント大きい結果でした。同じ形式の表を1期前の期間で見た場合、つまり交付運用報告書 第26期に載る対象期間2020年8月末〜2025年7月末の表でも、当ファンド44.3%・10.8%・△10.4%に対し日本株42.1%・15.2%・△7.1%で、最小値の関係は同じです。資料は最新の第26期版で、古いのは表が扱う期間のほうです。(出典:交付運用報告書 第26期「代表的な資産クラスとの騰落率の比較」。差はにーと算出)
現金を厚く持つ運用は、理屈のうえでは下落を和らげます。ただし2つの期間のどちらでも、月次で見た1年騰落率の最小値はTOPIXより低い水準にとどまりました。
ここは読み方に注意が要ります。この最小値が観測された2020年8月末〜2026年3月末という期間は、前掲の資産別配分の表で見ると現金等が6.9%から13.6%だった時期がほとんどです。19%から20%まで高めたのは第26期の後半以降で、その体制になってからの下落局面はまだ来ていません。現金を2割まで積んだ状態で下値をどこまで抑えられるかを判定できる公表データは、現時点では存在しません。
暦年の収益率は直近11年のうち2年がマイナス
| 年 | 収益率 | 年 | 収益率 |
|---|---|---|---|
| 2016年 | +1.3% | 2022年 | △10.4% |
| 2017年 | +25.1% | 2023年 | +24.1% |
| 2018年 | △17.2% | 2024年 | +10.7% |
| 2019年 | +14.7% | 2025年 | +10.5% |
| 2020年 | +11.1% | 2026年(1〜3月) | +3.8% |
| 2021年 | +11.2% | — | — |
決算期ベースの騰落率は、第22期+25.3%、第23期+2.4%、第24期+9.8%、第25期+13.3%、第26期+4.2%です。(出典:交付運用報告書 第26期「最近5年間の基準価額等の推移」)
公式サイトの設定来+413.11%は、7月31日の基準価額と基準日が合わない
公式サイトの運用状況ページには、税引前分配金込み基準価額の期間別騰落率として1年+32.11%、3年+46.23%、設定来+413.11%が掲載されています。ただしこの表には基準日の記載がありません。2026年8月2日に同ページのHTMLを取得して確認したところ、日付が付いているのは基準価額・純資産総額の欄(2026年7月31日現在)と資産構成の欄(2026年6月30日現在)で、騰落率の表と注記には日付の表示がありませんでした。(出典:さわかみ投信「運用状況」・2026年8月2日閲覧)
このファンドは設定来の分配金が0円です。追加型投信は1口=元本1円で設定されるため、設定時の1万口当たり基準価額は10,000円。分配金がゼロなら、税引前分配金込み基準価額の設定来騰落率は「基準価額÷10,000−1」と一致します。7月31日の基準価額50,012円で計算すると+400.12%。公式サイトの+413.11%は基準価額51,311円に相当し、13.0ポイントの開きがあります。(出典:さわかみ投信「運用状況」の基準価額および分配実績。逆算はにーと算出)
2つの数字は同じページに並んでいますが、基準日が違うとみられます。騰落率の表がどの日付の値かは、公表資料では確認できませんでした。本記事では、日付を特定できる基準価額50,012円(2026年7月31日)のほうを基準に読んでいます。
アクティブファンドで費用と成績の関係をどう読むかは、別のファンドでも同じ手順で整理しています。

分配金は設定来26期連続で0円
第1期(2000年8月23日決算)から第26期(2025年8月25日決算)まで、1万口当たりの分配金はすべて0円です。設定来の累計も0円。分配金再投資専用のファンドで、分配を行った場合は税金が差し引かれた後に自動で再投資される仕組みですが、その分配自体が26回とも行われていません。(出典:さわかみ投信「運用状況」の分配実績(税引前)、投資信託説明書(交付目論見書)2026年5月23日使用開始版「分配の推移」)
第26期の分配金の計算過程を見ると、収益分配可能額は3,480億4,757万4,123円あり、1万口当たりでは33,055円と記載されています。それでも分配は行われず、分配を行わないことが今後の安定的な運用につながると判断した、と交付運用報告書に記されています。交付運用報告書の分配原資の内訳でも、翌期繰越分配対象額は1万口当たり33,055円です。(出典:運用報告書(全体版)第26期「分配金の計算過程」、交付運用報告書 第26期「分配金」)
33,055円は、基準価額から元本を引いた30,759円を2,296円上回る
この33,055円は、そのまま「1万口当たりの値上がり分」として読める数字ではありません。期末の基準価額40,759円から元本にあたる10,000円を引くと30,759円。1万口当たりの収益分配可能額はこれを2,296円上回ります。分配できるとされている額のほうが、値上がり分より大きい形です。
内訳をたどると理由が分かります。運用報告書の分配金の計算過程では、収益分配可能額を4つの合計で出しています。配当等収益額(経費控除後)65億6,591万6,127円、有価証券売買等損益額(経費控除後・繰越欠損金補填後)113億5,150万6,051円、収益調整金額1,247億3,632万5,925円、分配準備積立金額2,053億9,382万6,020円。合わせて3,480億4,757万4,123円です。
このうち収益調整金額1,247億3,632万5,925円は、貸借の側にある追加信託差損益金の内訳、配当等相当額と同じ額です。追加信託差損益金には売買損益相当額というもう1つの内訳があり、こちらはマイナス241億7,898万1,039円。分配可能額の計算にはこのマイナス分が入りません。1万口当たりに直すと2,296円で、超過している額とちょうど同じです。(出典:運用報告書(全体版)第26期「損益の状況」「分配金の計算過程」。1万口当たりへの換算と内訳の突き合わせはにーと算出)
追加信託差損益金は、追加設定のときに払い込まれた価格から元本を差し引いた差額だと運用報告書が説明しています。つまり収益調整金は、後から買った人の払込金のうち、そのときファンドが抱えていた配当等収益に相当する部分を振り替えたものです。運用で稼いだ額とは性質が違うため、収益分配可能額は基準価額の値上がり分を超えることがあります。分配余力の大きさを見るときは、この点を差し引いて読む必要があります。
定期的な現金収入を求める人には合いません。逆に、分配のたびに課税されて再投資額が減ることを避けたい人には条件が合います。分配金の受け取りを重視して投信を選ぶ場合の論点は、別記事で制度面から整理しています。

NISAは成長投資枠のみ。つみたて投資枠の対象ではない
さわかみファンドは2024年1月1日以降、NISAの成長投資枠(特定非課税管理勘定)の対象商品です。交付目論見書の表紙と課税関係の欄に、成長投資枠の対象である旨が記載されています。つみたて投資枠についての記載はありません。(出典:投資信託説明書(交付目論見書)2026年5月23日使用開始版、さわかみ投信「ファンド情報」の基本情報欄)
毎月一定額を積み立てたい場合は、NISAのつみたて投資枠ではなく成長投資枠での積立か、課税口座での積立になります。さわかみ投信には定期定額購入サービスがあり、2026年7月30日現在の契約数は31,422名、直販の顧客数138,853名に対して22.6%です。(出典:さわかみファンド月次レポート2026年7月31日号)
運用報告書の署名は澤上龍氏と黒島光昭氏
澤上篤人氏から代替わりした後の運用はどうなっているのか。この論点について、一次資料で確認できる範囲を整理します。
さわかみ投信の会社概要に代表者として記載されているのは、代表取締役社長の澤上龍氏です。交付運用報告書 第26期の「ごあいさつ」も澤上龍氏の署名で、「2. 今後の運用方針」は最高投資責任者の黒島光昭氏の署名になっています。2026年7月31日号の月次レポートも、「船長よりファンド仲間の皆さまへ」が代表取締役社長 澤上龍氏、「今月の航海日誌」が取締役最高投資責任者 黒島光昭氏です。会社概要の記載に澤上篤人氏の名前はありません。(出典:さわかみ投信「会社概要」・2026年8月2日閲覧、交付運用報告書 第26期、さわかみファンド月次レポート2026年7月31日号)
澤上篤人氏がいつどの役職を離れたかは、さわかみ投信の公表資料では確認できませんでした。設定来の騰落率(公式サイト表示で+413.11%、7月31日の基準価額から計算すると+400.12%)が、どの時期の誰の判断による結果なのかを分解する材料も公表されていません。言えるのは、現在の運用方針を署名しているのが上記の2名だということまでです。
ファンド仲間は12.3%増え、受益権総口数は5.0%減った
直販ならではの数字として、交付運用報告書には「ファンド仲間数」(口座を持つ顧客の数)が毎期載っています。純資産・受益権総口数と並べると、方向が食い違います。
| 決算期 | 基準価額 | 純資産総額 | 受益権総口数 | ファンド仲間数 |
|---|---|---|---|---|
| 第22期 | 30,698円 | 3,401億4,881万円 | 1,108億327万口 | 117,200名 |
| 第23期 | 31,432円 | 3,500億7,539万円 | 1,113億7,374万口 | 117,646名 |
| 第24期 | 34,521円 | 3,809億6,324万円 | 1,103億5,818万口 | 118,193名 |
| 第25期 | 39,101円 | 4,203億3,585万円 | 1,074億9,976万口 | 125,255名 |
| 第26期 | 40,759円 | 4,291億5,963万円 | 1,052億9,104万口 | 131,622名 |
ファンド仲間数は117,200名から131,622名へ12.3%増えました。同じ期間に受益権総口数は1,108億327万口から1,052億9,104万口へ5.0%減。第22期の期首元本1,176億3,138万口と比べると10.5%減です。純資産総額が増えているのは基準価額の上昇によるもので、資金の出入りによるものではありません。(増減率はにーと算出)
元本の増減も5期のうち4期で解約が上回りました。第22期は追加設定51億2,795万円に対し解約119億5,606万円、第24期は47億7,121万円に対し57億8,677万円、第25期は42億7,230万円に対し71億3,073万円、第26期は41億6,901万円に対し63億7,773万円。追加設定が上回ったのは第23期だけです。(出典:交付運用報告書 第22期〜第26期「純資産等」の注記)
1人当たりの保有口数に直すと、第22期末の約945,000口から第26期末の約800,000口へ15.4%減っています。新規の口座開設が続く一方で保有規模は縮んでいますが、これは既存の顧客が減らしたためとも、新規の顧客が小口だからとも読めます。どちらであるかを判別できるデータは公表されていません。(1人当たり口数はにーと算出)
会社提案1,640件のうち、反対したのは2件
さわかみファンドは、議決権の行使を企業との対話の一つと位置づけ、企業価値が長期的に向上する方向で賛成・反対の意思を示すとしています。実際の行使結果は交付運用報告書の参考情報に載っています。
| 決算期 | 行使対象 | 会社提案(件) | うち反対 | 反対率 | 株主提案(賛成/反対) | 対話・訪問・取材 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 第22期 | 112社 | 1,277 | 21件 | 1.64% | 9件(1/8) | 311回 |
| 第23期 | 119社 | 1,449 | 50件 | 3.45% | 16件(2/14) | 297回 |
| 第24期 | 126社 | 1,520 | 9件 | 0.59% | 25件(3/21) | 169回 |
| 第25期 | 131社 | 1,499 | 1件 | 0.07% | 9件(2/7) | 133回 |
| 第26期 | 143社 | 1,640 | 2件 | 0.12% | 30件(3/27) | 187回 |
会社提案への反対は、第23期の50件をピークに直近3期は9件・1件・2件まで減りました。第26期の反対理由として挙げられているのは、経営成績に鑑みて適切ではないと判断した役員報酬と、2年連続で取締役会出席率が100%ではない取締役の選任の2件です。一方で株主提案には30件中27件で反対しています。
対話・訪問・取材の回数は第22期の311回から第25期の133回まで減り、第26期は187回まで戻しました。うち投資先企業の経営層との対話は第26期で13社です。
評判として語られる論点を一次資料で確認する
1. 信託報酬1.1%が高いという指摘
インデックスファンドと比べれば高い水準です。しかも、逓減表があるのに投資家の負担が下がらない点は、他のアクティブファンドと比べても目を引きます。実際に払っている率を株式運用部分で見れば年1.28%(第26期実額ベース・にーと算出)。ただし購入時手数料も信託財産留保額もゼロで、売買委託手数料も0.016%と軽い。総経費率1.11%という数字だけを他社と並べると、実質の負担を低く見積もることになります。
2. TOPIXに勝てていないという指摘
運用報告書にベンチマークも参考指数も設定されていないため、決算期ごとの勝ち負けを追う材料がありません。唯一の横並びである資産クラス比較では、2021年4月末〜2026年3月末の月次1年騰落率の平均が10.6%に対し日本株17.4%。指摘の方向はこの数字で裏づきます。ただし比べているのは運用目標ではなく、目論見書が参考として並べた資産クラスです。
3. バイ・アンド・ホールドと言いながら売買しているのではという疑い
株式売買高比率は第26期で0.34。理論上の平均保有期間は約5年10ヵ月です。第23期は0.08で約24年9ヵ月でした。回転は速まっていますが、実際に売買している水準として見れば低いほうです。第26期に売買が増えた理由は、現金比率を20%程度まで引き上げるための売却だと運用報告書に説明があります。
4. 現金比率が高いのは機会損失ではないかという疑問
第26期末の現金等は19.3%、2026年7月31日時点は18.04%です。現金にも年1.10%の信託報酬がかかるため、株式運用部分に対する実効率は1.2800%まで上がりました(第26期実額ベース・にーと算出)。相場が上がる局面では持ち高が軽い分だけリターンが抑えられます。第26期の運用報告書自身が、5月以降の反発局面で値幅が抑制されたと記しています。下落局面での効果は、公表データではまだ測れません。月次1年騰落率の最小値は当ファンド△10.4%、日本株△7.1%ですが、この最小値が出た時期の現金等は6.9%から13.6%で、19%から20%の体制を検証した数字ではないためです。
5. 澤上篤人氏から代替わりした後の運用はどうかという見方
会社概要に代表者として載っているのは澤上龍氏、運用方針の署名は最高投資責任者の黒島光昭氏です。公表資料から言えるのはここまでで、澤上篤人氏の退任時期や、現体制がいつから始まったかを示す資料はさわかみ投信のサイトでは確認できませんでした。設定来の騰落率を、現体制の実績として読むことはできません。
6. 分配金を出さない方針は今も維持されているか
維持されています。第1期から第26期まで26回とも0円です。第26期の1万口当たり収益分配可能額33,055円(うち2,296円は追加信託差損益金の計算上の扱いによる分)に対して分配ゼロという判断で、分配方針そのものも、基準価額水準や市況動向を勘案して分配を行わないこともある、という内容です。
向いている人・向いていない人
条件が合いやすいケース
- 買うとき・売るときの手数料をゼロにしたい(購入時手数料なし、信託財産留保額なし)
- 分配金を受け取らず、ファンドの中で運用を続けたい(設定来26期すべて0円、第26期の翌期繰越分配対象額は1万口当たり33,055円)
- 組入銘柄の中身を全部見たうえで持ちたい(毎月のレポートで全155銘柄の保有株数・取得単価・評価損益まで開示。2026年7月31日時点)
- 1銘柄への集中を避けたい(2026年7月31日時点の最大組入は信越化学工業の3.63%)
- 相場が過熱したときに現金を厚くする運用を許容できる(第26期末の現金等19.3%、2026年7月31日時点18.04%)
- 売買の回転が遅いファンドを選びたい(第26期の株式売買高比率0.34、理論上の平均保有期間は約5年10ヵ月)
条件が合いにくいケース
- 費用を最小限に抑えたい(信託報酬は純資産がいくら増えても年1.10%。株式運用部分で見た第26期の実効率は1.2800%)
- NISAのつみたて投資枠で積み立てたい(対象は成長投資枠のみ)
- いま使っている証券会社の口座で完結させたい(販売会社はさわかみ投信1社のみ。別途口座開設が必要)
- 指数との比較で運用の巧拙を判断したい(ベンチマークも参考指数も設定されておらず、決算期ごとの対指数の差を追う材料がない)
- 下落局面で指数より小さい下げを期待している(月次1年騰落率の最小値は当ファンド△10.4%、日本株△7.1%。対象期間2021年4月末〜2026年3月末)
- 海外株式への分散を求めている(商品分類は内外だが、2026年7月31日時点の外国株式は3.14%)
- 定期的な現金収入がほしい(設定来の分配金は0円で、判断により分配を行わない場合があると明記されている)
よくある質問
信託報酬は結局いくらかかっていますか?
目論見書の表示は純資産総額に対して年1.10%(税抜年1.00%)です。第26期に実際に信託財産から引かれた信託報酬等は45億4,913万7,751円で、同じ期の平均組入株式時価総額3,554億398万円で割ると年1.2800%になります(にーと算出)。差が出るのは、株式に投じていない現金等にも同じ率がかかるためです。公表の総経費率は1.11%ですが、こちらは簡便法による参考値だと運用報告書に注記があります。(出典:運用報告書(全体版)第26期「損益の状況」、交付運用報告書 第26期)
純資産が5,000億円まで増えたのに、信託報酬が下がらないのはなぜですか?
目論見書の本文で、信託報酬の総額を純資産総額の年1.10%と定めているためです。その下にある5段階の配分表は、委託会社・販売会社・受託会社の取り分を分ける表で、各段の3社の合計はすべて1.100%になります。段が上がると受託会社の取り分が0.110%から0.022%へ下がり、同じだけ委託会社の取り分が0.605%から0.693%へ上がる構造です。(出典:投資信託説明書(交付目論見書)2026年5月23日使用開始版。合計はにーと算出)
TOPIXと比べて成績はどうですか?
運用報告書にベンチマークも参考指数も設定されていないため、決算期ごとの対TOPIXの差は公表されていません。目論見書の資産クラス比較では、2021年4月末日〜2026年3月末日の各月末における直近1年間の騰落率について、当ファンドが最大33.8%・平均10.6%・最小△10.4%、日本株(TOPIX配当込み指数)が最大50.5%・平均17.4%・最小△7.1%です。(出典:投資信託説明書(交付目論見書)2026年5月23日使用開始版)
現金比率が20%近いのは普通のことですか?
このファンドの中では高い水準です。決算日時点の現金等は第22期6.9%、第23期10.8%、第24期13.6%、第25期11.5%、第26期19.3%と推移し、5期で約2.8倍になりました。第26期は年明けに10%超から12%超へ、4月後半に20%程度まで引き上げたと運用報告書に記されています。2026年7月31日時点は18.04%です。(出典:交付運用報告書 第22期〜第26期、さわかみファンド ポートフォリオ2026年7月31日現在)
SBI証券や楽天証券で買えますか?
買えません。販売会社はさわかみ投信株式会社1社のみの直販です。購入するにはさわかみ投信に総合取引口座を開く必要があります。購入は10,000円以上1円単位、換金は1円以上1円単位の金額指定または全額換金で、口数指定はできません。解約代金は申込受付日を含めて5営業日目の支払いです。(出典:さわかみ投信「ファンド情報」の基本情報欄、投資信託説明書(交付目論見書)2026年5月23日使用開始版)
NISAのつみたて投資枠で買えますか?
つみたて投資枠の対象ではありません。対象はNISAの成長投資枠(特定非課税管理勘定)のみです。積み立てたい場合は、成長投資枠での積立か課税口座での積立になります。さわかみ投信の定期定額購入サービスの契約数は31,422名で、直販の顧客数138,853名に対して22.6%です(2026年7月30日現在)。(出典:投資信託説明書(交付目論見書)2026年5月23日使用開始版、さわかみファンド月次レポート2026年7月31日号)
まとめ
さわかみファンドについて、一次資料から確認できた内容を整理します。
- 信託報酬は純資産総額の年1.10%(税込)。目論見書の5段階の配分表は、各段の3社の取り分を足すとすべて1.100%になり、純資産が増えても投資家の負担は変わらない
- 段が上がると受託会社の取り分は0.110%から0.022%へ下がり、その分は委託会社の取り分が0.605%から0.693%へ上がる形で移る。販売会社の0.385%は全段固定
- 2026年7月31日の純資産5,028億7,500万円で計算すると、委託会社0.6449%・販売会社0.3850%・受託会社0.0701%・合計1.1000%。年間の信託報酬額は約55億3,200万円(にーと算出)
- 第26期の信託報酬等の実額45億4,913万7,751円を、期中の平均組入株式時価総額3,554億398万円で割ると年1.2800%。1.10%との差額は6億3,969万4,004円で、これが株式以外の資産にかかった分(にーと算出)
- 実効率は5期で1.1942%から1.2800%へ上がった。現金等の比率が6.9%から19.3%へ約2.8倍になったことと対応している
- 第26期の株式売買高比率は0.34。売買金額は買付と売付の合計なので、1回転にあたる2.0を基準にすると理論上の平均保有期間は約5年10ヵ月(24÷0.3437・にーと算出)。バイ・アンド・ホールドという説明は数字の上では守られている
- ただし売買高比率は第22期の0.10から第26期の0.34へ3.4倍になった。最も低かった第23期の0.08と比べれば4.3倍。第26期に売買が増えたのは、現金比率を20%程度まで引き上げるための売却によるもの(倍率はにーと算出)
- ベンチマークも参考指数も設定されていない。唯一の横並びである資産クラス比較では、月次1年騰落率の平均が当ファンド10.6%に対し日本株17.4%、最小値が△10.4%に対し△7.1%(2021年4月末〜2026年3月末)
- 分配金は第1期から第26期まで26回とも0円。第26期の1万口当たり収益分配可能額は33,055円だが、これは基準価額40,759円から元本10,000円を引いた30,759円を2,296円上回る。差は、収益分配可能額の計算に追加信託差損益金の売買損益相当額(マイナス241億7,898万1,039円、1万口当たり2,296円)が含まれないため(にーと算出)
- 公式サイトの設定来騰落率は+413.11%だが、この表に基準日の記載がない。分配金0円・設定時1万口10,000円なので設定来騰落率は基準価額÷10,000−1と一致するはずで、7月31日の基準価額50,012円からは+400.12%。13.0ポイントずれており、基準日が違うとみられる(にーと算出)
- NISAは成長投資枠のみ対象。販売会社はさわかみ投信1社の直販で、購入時手数料と信託財産留保額はなし
- ファンド仲間数は5期で117,200名から131,622名へ12.3%増えた一方、受益権総口数は1,108億327万口から1,052億9,104万口へ5.0%減った。元本は5期のうち4期で解約が追加設定を上回っている(増減率はにーと算出)
- 第26期の議決権行使は143社。会社提案1,640件のうち反対は2件で、直近3期は9件・1件・2件と少ない水準が続く。株主提案には30件中27件で反対した
判断材料を1つに絞るなら、費用の額そのものより、その費用が何にかかっているかのほうです。年1.10%は規模が5,000億円になっても下がらず、しかも資産の2割を占める現金にも同じ率でかかります。実際に信託財産から差し引かれる率は純資産に対する年1.10%で、これは変わりません(公表の総経費率は1.11%)。変わるのは分母のほうで、株式で運用されている金額だけを分母に取り替えると、第26期の実額では年1.28%になります。インデックスファンドの信託報酬と並べるときは、この1.1%が現金を含む純資産全体にかかる率であることを織り込んで見る必要があります。
一方で、購入時手数料も信託財産留保額もなく、売買委託手数料は0.016%、株式売買高比率は0.34。長期で持ち続ける前提のコスト構造としては筋が通っています。全155銘柄を毎月開示する姿勢も、直販ならではの水準です。合わないとすれば、現金2割の状態を許容できるか、そして指数と比べる材料がないまま持ち続けられるか、という点になります。
確認する順番としては、まず毎月のポートフォリオで現金等の比率と組入上位銘柄を見て、いま持っている中身が自分の期待と合っているかを確かめる。次に年1回の運用報告書(全体版)で、損益計算書の信託報酬等と株式売買高比率を見て、実際の費用と回転の速さを確認する。どちらもさわかみ投信の公式サイトで公開されています。第27期は2026年8月23日が日曜のため決算日は翌営業日となり、運用報告書の公表はその後になります。
なお、基準価額・純資産総額・騰落率は日々変動します。購入や解約を検討する際は、さわかみ投信の公式サイトおよび投資信託説明書(交付目論見書)で最新の内容を確認してください。
※本記事は制度・商品の解説を目的としたもので、特定の金融商品や販売会社、投資行動を推奨するものではありません。数値はすべて出典元(さわかみ投信公式サイト、投資信託説明書(交付目論見書)2026年5月23日使用開始版、交付運用報告書および運用報告書(全体版)第22期〜第26期、さわかみファンド月次レポートおよびポートフォリオ各号)の公表時点のものです。実効率・平均保有期間・加重平均の料率・増減率など「にーと算出」と記した数値は、公表されている実額とデータからにーとが計算したもので、運用会社の公表値ではありません。投資に際しては交付目論見書等をご確認のうえ、最終的なご判断はご自身の責任でお願いします。



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