この記事の判断軸:物語コーポレーションの優待は、焼肉きんぐなど対象店舗を利用する頻度、電子優待の利用条件と期限、年間優待額を必要資金に対して使い切れるかで判断します。外食の回数が少ない人は、優待利回りより実際に消費できる金額を基準にします。
「物語コーポレーションの株主優待では何がもらえるのか」「物語HDの優待をもらうにはいくら必要なのか」——焼肉きんぐや丸源ラーメンなどを展開する同社の優待に関心を持つ方に向けて、優待の内容、受け取る条件、必要投資額、使い方、配当との違いまで、購入前に知っておきたい点を説明します。
はじめに社名について補足します。「物語HD」「物語ホールディングス」と検索する方もいますが、正式名称は株式会社物語コーポレーション(証券コード3097、東証プライム、決算期6月期)です。「物語ホールディングス」という社名の上場企業は本記事の確認範囲では存在せず、優待を実施しているのは物語コーポレーションです。
株主優待の仕組みや権利確定日の基本から知りたい方は、株主優待の基礎を解説した記事も参考になります。
※本記事は特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。制度・数値は変更される場合があるため、最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。
物語コーポレーションの株主優待、何がもらえる?
物語コーポレーションの株主優待は、100株以上を保有する株主に対して交付される「株主様ご優待券(電子チケット)」です。1回あたり3,500円相当で、二次元コードとバーコードが付いた券として交付され、スマートフォンで二次元コードを読み取って画面を提示する方法と、券面のバーコードをそのままレジで提示する方法のどちらでも利用できます(この電子チケット形式は2026年3月発送分からのものです。2025年3月中旬発送分から2026年3月発送分の前まではカード型、それ以前は紙の冊子型(500円券7枚つづり)でした)。
| 保有株数 | 優待内容(1回あたり) |
|---|---|
| 100株以上 | 株主様ご優待券(電子チケット) 3,500円相当 |
本記事の確認範囲では、保有株数による優待金額の段階差は設けられておらず、100株以上は一律で3,500円相当となっています。焼肉きんぐ・丸源ラーメン・ゆず庵・お好み焼本舗といった同社グループ店舗での飲食に利用できる点が特徴です。
優待をもらうための条件
優待を受け取るための主な条件は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 最低必要株数 | 100株(単元株) |
| 権利確定日 | 年2回(6月末・12月末) |
| 継続保有条件 | 権利確定時を含む直近2回連続で、同一株主番号により100株以上を株主名簿に記載されていること |
注意したいのが継続保有条件です。2025年5月19日に開示された制度変更により、1回の権利確定日に株主名簿へ記載されているだけでは優待を受け取れず、直近2回連続(実質的に半年以上)の継続保有が求められるようになりました。2026年6月末以降は、この「直近2回連続保有」が完全な要件となっています。株を買ってすぐに売却する短期保有では優待を得られない仕組みになっている点を押さえておく必要があります。
必要投資額はいくら?
優待の最低単位である100株を取得するための投資額は、株価によって変動します。直近株価をもとにした参考値は次のとおりです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 直近株価(2026年7月17日時点) | 5,200円 |
| 単元株数 | 100株 |
| 必要投資額(参考値) | 約520,000円 |
5,200円×100株で、必要投資額は約520,000円(売買手数料等は含みません)となります。優待銘柄としては1単元あたりの単価が高めであり、まとまった資金が必要になる点は事前に理解しておきたいところです。株価は日々変動するため、実際の投資額は購入時点の株価でご確認ください。
権利確定日とスケジュール
物語コーポレーションの決算期は6月期で、権利確定日は6月末と12月末の年2回です。各権利確定日に向けて、権利付最終日までに株式を保有しておく必要があります(権利付最終日は年によって異なるため、証券会社等でご確認ください)。
継続保有条件の適用スケジュールは、開示情報によると段階的に移行しました。
| 時期 | 取り扱い |
|---|---|
| 2025年6月末 | 従来どおり(当該時点の株主名簿記載で対象) |
| 2025年12月末 | 直近2回連続保有者が対象 |
| 2026年6月末以降 | 「直近2回連続保有」へ完全移行 |
優待の使い方
株主様ご優待券(電子チケット)は、国内の自社グループ直営・FC店舗での店内飲食・テークアウトに1円単位で利用できます。利用時の主なルールは以下のとおりです。
- 利用先は焼肉きんぐ・丸源ラーメン・ゆず庵・お好み焼本舗などの同社グループ店舗
- 店内飲食・テークアウトに1円単位で利用可能
- モバイルオーダー・デリバリーには利用不可
- 換金性はなく、飲食での利用に限定される
優待の価値は「同社グループ店舗で飲食に使うこと」で初めて実現します。近隣に対象店舗があり、日常的に利用する方ほど使い切りやすい設計といえます。
なお、同じ外食業界で店舗飲食に使える優待を実施している銘柄としては、ラーメン店「一風堂」などを展開する力の源ホールディングスもあります。外食系の優待を横並びで比較したい方は、力の源ホールディングス(3561)の株主優待もあわせて確認するとよいでしょう。
配当+優待の実質利回り
ここでは、配当と優待を合わせた利回りを確認します。ただし配当と優待は性質が大きく異なるため、それぞれ分けて把握することが重要です。
配当については、次の数字を前提にします。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 2026年6月期 1株あたり配当 | 年間40.00円(会社予想・本決算未発表) |
| 2025年6月期 1株あたり配当 | 年間36.00円(実績) |
| 配当性向(2025年6月期) | 約22% |
投資額520,000円(100株・株価5,200円)を前提に、配当と優待の利回りをそれぞれ試算すると次のようになります。
| 区分 | 年間の価値 | 利回り(参考値) |
|---|---|---|
| 配当(現金) | 40.00円×100株=4,000円 | 約0.77% |
| 優待(自社店舗利用限定・非現金) | 3,500円×年2回=7,000円相当 | 約1.35% |
| 合計(参考値) | 11,000円相当 | 約2.1% |
ここで必ず押さえておきたいのが、配当は現金として受け取れる一方、優待は同社グループ店舗での飲食にしか使えず換金性がないという点です。合計利回り約2.1%という数字は、配当(現金)と優待(非現金)の性質の異なる2つを単純合算した参考値にすぎません。実際に得られる価値は、同社グループ店舗を利用するかどうかによって大きく変わります。優待を使わなければ、実質的な利回りは配当分の約0.77%に近づきます。
また、この試算はあくまで継続保有条件(直近2回連続保有)を満たし、年2回の優待を受け取れた場合を前提としています。条件を満たさなければ優待自体を受け取れず、試算の前提が崩れる点にも留意が必要です。配当の40.00円は会社予想であり、確定値ではありません。
優待の変更履歴
直近の主な変更は4件あります。2026年1月13日に開示された「株主様ご優待カードの電子化」、2025年8月18日に開示された「株主優待制度の拡充」、2025年5月19日に開示された「株主優待制度の一部変更に関するお知らせ」、2024年12月16日に開示された「株主優待券の電子化に関するお知らせ」です。
| 項目 | 変更前 | 変更後 |
|---|---|---|
| 優待の形態(2024年12月16日開示) | 株主様お食事ご優待券(紙・冊子型、500円券7枚つづり) | 株主様ご優待カード(カード型、3,500円相当1枚)※2025年3月中旬頃発送分より |
| 利用単位(2024年12月16日開示) | 500円単位 | 1円単位 |
| 優待の形態(2026年1月13日開示) | 株主様ご優待カード(カード型) | 株主様ご優待券(電子チケット)※2026年3月発送分より |
| 優待金額 | 3,500円相当 | 3,500円相当(変更なし) |
| 回数 | 年2回 | 年2回(変更なし) |
| 対象株数 | 100株以上 | 100株以上(変更なし) |
| 継続保有条件 | 権利確定時点の株主名簿記載のみ | 直近2回連続・同一株主番号で100株以上保有 |
| 利用可能店舗・利用形態(2025年8月18日開示) | 「焼きたてのかるび」を除く国内グループ店舗/店内飲食のみ | 「焼きたてのかるび」を含む国内全グループ店舗/店内飲食・テークアウト(福袋含む)※2025年10月1日営業日より |
このとおり、優待金額・回数・対象株数は2024年12月16日以降の4件を通じて変更されていません。変わったのは優待券の形態と利用単位(2024年12月16日、紙の冊子型からカード型へ・利用単位が500円単位から1円単位へ)、継続保有条件の新設(2025年5月19日)、利用できる店舗と利用形態の拡充(2025年8月18日)、優待の形態の再変更(2026年1月13日、カード型から電子チケットへ)の4点です。なお、これより前の履歴についても確認したところ、2021年1月27日には株式分割(1株→2株)にあわせて、優待制度が保有株数に応じた差額制(100株以上2,500円相当~900株以上15,000円相当、お米との選択制あり)から現行の「100株以上一律3,500円相当」に統一される抜本的な変更がありました。2023年2月10日には株式分割(1株→3株)に伴う定款変更が行われましたが、この開示では「今回の株式分割にあたり、株主優待制度の変更はございません」と明記されています。なお、同開示時点での対象店舗は「焼きたてのかるび」を除く国内直営・FC店舗でした(前述のとおり2025年8月18日の拡充で「焼きたてのかるび」を含む全店舗に変更されています)。さらに2014年9月16日にも「株主優待制度の一部内容変更に関するお知らせ」という開示が存在することを確認していますが、本記事では内容までは確認できていません。2013年9月以降の開示一覧を確認した範囲では、株主優待関連の開示は上記が全てです。
こんな人に向いている/向いていない
優待の設計をふまえると、次のような傾向が読み取れます。
| 向いている可能性がある人 | 向いていない可能性がある人 |
|---|---|
|
|
同じ外食業界で複数ブランドの店舗を展開し、食事券タイプの優待を出している銘柄としては、クリエイト・レストランツHDも挙げられます。投資額や実質利回りの水準を比べてみたい方は、クリエイト・レストランツHD(3387)の株主優待もあわせて参考にしてください。
注意点・リスク
購入前に、次の点を確認してください。
- 継続保有条件が必須:1回の権利確定だけでは受給できず、直近2回連続(実質半年以上)の保有が必要です。買ってすぐ売却すると優待を得られません。
- 利用店舗の制限:国内の自社グループ店舗のみで利用可能です。モバイルオーダー・デリバリーには利用できません。
- 換金性がない:飲食に使わなければ価値が実現しません。
- 配当利回りが低め:会社予想ベースで約0.77%と低水準で、優待中心の銘柄といえます。
- 投資額が大きめ:最低投資額が約52万円と、優待銘柄としては単価が高めです。
- 優待券の有効期限:発行日から1年間です(3月発行分は翌年3月末、9月発行分は翌年9月末。公式サイトで確認済み・確認日:2026年8月8日)。
100株を超えて買うと優待は増える?
物語コーポレーションの株主優待は、100株以上で1回3,500円相当です。現行制度では、200株、300株と保有株数を増やしても、優待の金額は増えません。優待だけを目的にするなら、100株を基準に考えることになります。
| 保有株数 | 1回あたりの優待 | 優待目的で見た意味 |
|---|---|---|
| 100株 | 3,500円相当 | 最低単位で優待を受け取る |
| 200株 | 3,500円相当 | 優待額は100株と同じ |
| 300株 | 3,500円相当 | 優待額は100株と同じ |
もちろん、株数を増やす理由が配当や値上がり期待にあるなら話は別です。ただし、優待利回りを計算するときに「保有株数に比例して優待が増える」と考えるのは誤りです。優待を主な目的にする場合は、100株を買ったときの投資額と、同社の店舗で年間7,000円分を使い切れるかを先に比べるのが現実的です。
いつ買えば最初の優待を受け取れる?
この優待は、権利確定日に100株を持っているだけでは足りません。6月末または12月末の株主名簿に、同じ株主番号で直近2回連続して記載されることが条件です。
| 保有の例 | 最初の優待 | 考え方 |
|---|---|---|
| 6月末の基準日に初めて記載 | その回は対象外 | 次の12月末にも同じ株主番号で記載される必要がある |
| 6月末・12月末の2回連続で記載 | 次の発送対象になり得る | 100株以上を継続して保有していることが前提 |
| 途中で全株売却 | 継続保有の条件を満たせない可能性がある | 買い戻しても株主番号が同じになるとは限らない |
たとえば、2026年7月に100株を買った場合、2026年12月末と2027年6月末の両方で株主名簿に記載されることが、最初の優待を受け取るための基本的な流れです。正確な対象回や発送時期は、購入時点の公式IRと証券会社の案内で確認してください。
なお、株主番号は証券会社の画面でいつでも確認できるとは限りません。証券会社を変更する場合や、いったん全株を売却して買い戻す場合は、継続保有の扱いが変わる可能性があるため、優待の問い合わせ窓口に確認してから手続きを進めるほうが安心です。
電子チケットはどう使う?
現在の優待は、紙の金券をレジに渡す方式ではありません。届いた案内の二次元コードをスマートフォンで読み取り、表示された電子チケットの画面を会計時に提示します。スマートフォンを使わない場合は、券面のバーコードをレジで提示する方法もあります。
| 利用方法 | 使い方 |
|---|---|
| スマートフォン | 二次元コードを読み取り、電子チケット画面の「利用する」を押してバーコードを提示 |
| 紙のバーコード | 券面のバーコードをレジで提示 |
| 利用単位 | 会計額の範囲で1円単位 |
| 利用できる場面 | 店内飲食、持ち帰り商品、福袋など |
たとえば会計が2,860円なら、優待残高から2,860円分だけ使い、残りを次回に回せます。500円単位の券ではないため、会計額に近い金額を使いやすい点は、以前の紙券やカード型と比べた利便性です。一方で、スマートフォンの通信状況や店舗側の対応状況に左右されるため、利用前に対象店舗と利用条件を公式ページで確認しておく必要があります。
公式の利用規約では、第三者から譲渡された電子チケットについて会社が責任を負わないことも示されています。フリマアプリなどで購入した券を、正規の株主優待と同じように扱うことはできません。
年間7,000円分を使い切れるかで価値が変わる
100株保有時の優待は、年間では3,500円相当が2回、合計7,000円相当です。ただし、これは現金ではなく、物語コーポレーションの国内グループ店舗で使える金額です。近くに店舗があるか、家族との外食で利用するかによって、実際に受け取る価値は変わります。
| 使い方のイメージ | 年間優待7,000円分の扱い | 判断のポイント |
|---|---|---|
| 家族で焼肉きんぐを利用 | 食事代の一部に充てる | 年2回以上利用する予定があるか |
| 丸源ラーメンなどを定期的に利用 | 普段の外食費を置き換える | 優待のために余計な外食を増やさないか |
| 近隣に店舗がない | 使うための移動費や時間が必要 | 7,000円分を無理なく使えるか |
優待を使うためだけに遠出をしたり、必要のない外食を増やしたりするなら、額面どおりの7,000円の価値はありません。反対に、もともと利用している店舗で会計の一部に充てられるなら、優待額に近い価値を受け取りやすいでしょう。
そのため、優待利回り約1.35%という数字は、誰にとっても同じ価値を示すものではありません。株価5,200円を前提にした計算であり、株価が変われば利回りも変わります。さらに、優待を使い切れない場合は、実質的な優待利回りを低く見積もる必要があります。
配当と優待を分けて考える
物語コーポレーションは、優待だけでなく配当も実施しています。現在の記事で使っている株価5,200円と、会社予想の年間配当40円を前提にすると、100株の配当は4,000円、配当利回りは約0.77%です。
| 受け取るもの | 年間の金額 | 使い道 |
|---|---|---|
| 配当 | 4,000円(会社予想) | 現金として使える |
| 株主優待 | 7,000円相当 | 対象店舗での会計に使う |
配当は口座に入る現金ですが、優待は店舗利用を通じて初めて価値になります。したがって、合計11,000円相当という見方だけでなく、現金4,000円と、店舗で使う7,000円分を分けて判断することが大切です。外食の予定がない人にとっては、配当のほうが使いやすく、物語コーポレーションを日常的に利用する人にとっては優待の比重が大きくなります。
買う前に確認したい3項目
- 100株を半年以上持てるか:直近2回連続の株主名簿記載が必要です。
- 対象店舗を年2回以上使うか:優待は現金ではなく、対象店舗の会計に使う電子チケットです。
- 約52万円を1銘柄に配分できるか:株価5,200円を基準にすると、100株で約52万円です。株価は変動するため、購入時の金額で再計算してください。
この3つのどれかに無理があるなら、優待利回りだけで判断するのは避けたほうがよいでしょう。反対に、長期保有の予定があり、対象店舗を普段から使っているなら、100株で受け取れる内容と必要資金を比較しやすい銘柄です。
まとめ
株式会社物語コーポレーション(証券コード3097)の株主優待は、100株以上の保有で1回あたり3,500円相当の株主様ご優待券(電子チケット)を年2回受け取れる制度です。焼肉きんぐや丸源ラーメンなど同社グループ店舗での飲食に使える一方、換金性はなく、直近2回連続の継続保有条件を満たす必要があります。
配当利回りは会社予想ベースで約0.77%、優待利回りは約1.35%で、単純合算した参考値は約2.1%です。ただし配当(現金)と優待(自社店舗利用限定・非現金)は性質が異なり、実際の価値は同社グループ店舗を利用するかどうかで大きく変わります。同社の店舗を日常的に利用し、長期保有を前提とする方にとっては使いやすい優待といえるでしょう。
※本記事は特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。制度・数値は変更される場合があるため、最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。
公式情報で確認した資料
優待の対象株数・基準日・内容は、確認日時点で公開されている公式情報をもとにしています。制度変更の可能性があるため、権利取得前には最新のIR情報をご確認ください。
関連する前提は、株主優待の基本、外食企業の株主優待でも確認できます。
最終更新日:2026年8月20日
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