キリンホールディングス(証券コード2503)の株主優待は、100株を買ってすぐにもらえる制度ではありません。対象になるのは、3月末・6月末・9月末・12月末の株主名簿に、同じ株主番号で5回以上続けて100株以上の保有が記載された株主です。言いかえると、継続保有1年以上が条件です。
中身は保有年数で変わります。1年以上3年未満はQUOカードで、100株以上が500円相当、1,000株以上が1,000円相当。3年以上になると7種類から1つを選ぶ形に変わり、100株以上で2,000円相当、1,000株以上で4,000円相当、3,000株以上で6,000円相当です。3年以上の株主には、抽選のプレミアム優待も加わります。基準日は毎年12月末の年1回だけ。
検索で見つかる記事には、100株から商品を選べた頃の説明や、社名の似た別会社(キリン堂)の情報、日付の違う株価で出した利回りが混ざっています。本記事の内容は、会社の公式優待ページ、優待チラシ、決算短信、自己株式取得のお知らせで2026年10月19日に確認したもの。株価だけは株価情報サイトの参考値で、2026年10月16日終値の2,907円を使っています。
※本記事は特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。制度・数値は変更される場合があるため、最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。投資判断はご自身の責任において行ってください。
優待の区分は保有年数と株数の組み合わせ
| 継続保有期間 | 保有株式数 | 優待 |
|---|---|---|
| 1年未満 | 100株以上 | なし(廃止) |
| 1年以上3年未満 | 100株以上1,000株未満 | QUOカード500円相当 |
| 1年以上3年未満 | 1,000株以上 | QUOカード1,000円相当 |
| 3年以上 | 100株以上1,000株未満 | 7種類から選択・2,000円相当+プレミアム優待(抽選) |
| 3年以上 | 1,000株以上3,000株未満 | 7種類から選択・4,000円相当+プレミアム優待(抽選) |
| 3年以上 | 3,000株以上 | 7種類から選択・6,000円相当+プレミアム優待(抽選) |
出典:キリンホールディングス「株主優待」、2025年12月期ご優待内容のチラシ。
区分を決める軸は2つあります。1つは株数で、100株・1,000株・3,000株の3段階。もう1つが継続保有期間で、1年未満・1年以上3年未満・3年以上に分かれます。3,000株の区分があるのは3年以上だけで、1年以上3年未満では1,000株を超えて買い増しても1,000円相当のままです。
公式ページの定義では、継続して1年以上保有する株主とは、四半期末ごとの株主名簿に同一株主番号で5回以上連続して100株以上の記載がある株主のこと。基準日は12月末ですが、基準日は12月末ですが、条件の判定には3月末・6月末・9月末の名簿も使われます。継続保有1年未満は優待なしという点が、制度の出発点になります。
自分の保有開始日がわからない場合の問い合わせ先は、株主名簿管理人の三菱UFJ信託銀行 証券代行部(0120-232-711、平日9:00〜17:00)。優待品そのものの問い合わせ先は、株主様ご優待事務局(0120-848-025)です。
同じ優待銘柄でも、継続保有の条件を置かず、基準日に100株を持っていれば初回から対象になる会社もあります。ハピネット(7552)はその例で、区分は株数だけで決まる仕組み。

2024年12月期からの改定で変わった4点
現在の制度は、2024年12月期に改められたものです。公式ページは改定の中身を4項目で説明しています。
| 改定項目 | 内容 |
|---|---|
| 継続保有期間要件の導入 | 継続保有1年未満の株主への優待を廃止 |
| 保有期間に応じた傾斜 | 1年以上3年未満と3年以上で優待額に差をつける |
| プレミアム優待の追加 | 継続保有3年以上の株主を対象に抽選で実施 |
| 3,000株以上の区分の新設 | 継続保有3年以上かつ3,000株以上の株主が対象 |
読者への影響が大きいのは1つ目の項目。改定前の制度を説明した古い記事には、100株を持てばビールなどの詰め合わせを選べると書かれたものが残っています。現行制度では、100株を買っても最初の1年は何も届きません。商品を選べるのは3年以上の株主で、1年以上3年未満はQUOカードに限られます。
2つ目と4つ目の項目は、長く多く持つ株主ほど厚くする設計です。100株同士で比べると、3年以上の2,000円相当は1年以上3年未満の500円相当の4倍。1,000株では1,000円相当から4,000円相当へ、同じく4倍に増えます。
プレミアム優待の具体的な中身は、公式のよくある質問によると、3月末に送られる配当金関連書類と一緒に案内されます。内容が事前に公開されていないため、本記事の利回り計算には含めていません。
2024年12月期の改定より後に、優待の変更を知らせるリリースは公式IRページで確認できませんでした(2026年10月19日時点)。
いま買うと最初の優待はいつ届くか
公式の定義をあてはめると、2026年10月時点で新しく買った人の最初の優待は2027年12月期分になります。以下は、公式ページの定義と取引所の休業日から組み立てたにーとの整理です。
| 時期 | 名簿への記載 | 優待の扱い |
|---|---|---|
| 2026年12月28日(月) | — | 2026年12月末の名簿に載るための権利付最終日(計算値) |
| 2026年12月末 | 1回目 | 2026年12月期の基準日。連続1回のため対象外 |
| 2027年3月末 | 2回目 | — |
| 2027年6月末 | 3回目 | — |
| 2027年9月末 | 4回目 | — |
| 2027年12月末 | 5回目 | 連続5回を満たし、2027年12月期分の対象 |
| 2028年3月頃 | — | 100株ならQUOカード500円相当が配当金関連書類と一緒に届く |
2026年12月28日(月)までに買って持ち続けると、名簿への記載は2026年12月末、2027年3月末・6月末・9月末・12月末と重なり、2027年12月末で5回目に届く計算。2026年12月末の基準日には名簿に載っても1回目にすぎず、2026年12月期分は受け取れません。最初の優待は2027年12月期分のQUOカード500円相当で、届くのは2028年3月頃です。
権利付最終日は、受渡しが約定から2営業日後であることをもとに計算しました。12月31日から1月3日は取引所の休業日で、2026年の最終営業日は12月30日(水)。そこから2営業日さかのぼると12月28日(月)になります。2026年12月31日(木)が休業日であることは日本取引所グループの休業日一覧で確認していますが、購入前に証券会社の権利付最終日の案内で確かめてください。
上の表は、2027年中に名簿の記載が途切れないことが前提です。途中で株数が100株を下回ったり、株主番号が変わったりすると、数え直しになる場合があります。届き方は保有年数で分かれ、1年以上3年未満のQUOカードは、チラシによると対象の株主に案内と一緒に同封されて届く形です。3年以上の株主は案内に従って品物を選び、3月中旬から6月下旬にかけて順に届きます。
基準日と権利付最終日の関係など、優待を受け取る仕組みの基本は別の記事にまとめています。

3年以上で選べる7種類の優待品
継続保有3年以上の株主が選べるのは、次の7種類のうち1つ。以下は2025年12月期分のチラシに載った内容で、2026年に届けられるものです。品目が毎年同じとは限りません。
| 番号 | 品目 | お届け予定 |
|---|---|---|
| 1 | キリンビール詰め合わせ(100株以上8本・1,000株以上16本・3,000株以上24本) | 3月中旬〜5月下旬 |
| 2 | 清涼飲料詰め合わせ | 5月上旬〜6月下旬 |
| 3 | メルシャンワイン | 4月上旬〜5月下旬 |
| 4 | サプリメント(キリン iMUSE 免疫ケア等) | 6月上旬〜6月下旬 |
| 5 | ファンケル商品(マイルドクレンジングオイル等) | 6月上旬〜6月下旬 |
| 6 | キリンシティお食事券(1,000円券×2枚・4枚・6枚) | 5月下旬〜6月下旬 |
| 7 | 公益財団法人 交通遺児等育成基金への寄付 | — |
金額はどの品目を選んでも同じで、100株以上が2,000円相当、1,000株以上が4,000円相当、3,000株以上が6,000円相当です。株数が増えると、ビールは8本から16本、24本へ、食事券は2枚から4枚、6枚へと量が増えます。寄付を選んだ場合も、株数に応じて2,000円・4,000円・6,000円相当の扱い。
キリンシティお食事券には期限があり、2025年12月期分の有効期限は2027年5月31日。届くのが5月下旬〜6月下旬なので、使える期間は届いてからおよそ1年です。お酒の詰め合わせは、20歳未満の株主は選べないとチラシに書かれています。
お届け時期は品目ごとに異なり、いちばん早いビールが3月中旬から、サプリメントとファンケル商品は6月に入ってから。選ぶ品目によって、届く月に3か月ほどの差が出ます。
1年以上3年未満のQUOカードは、KIRINのオリジナルデザインです。チラシには、対象の株主にだけ案内と一緒に同封するとの説明がありました。
配当は2026年12月期の予想で年76円
| 決算期 | 中間 | 期末 | 年間 | 配当性向(連結) |
|---|---|---|---|---|
| 2024年12月期 | 35.50円 | 35.50円 | 71.00円 | 98.8% |
| 2025年12月期 | 37.00円 | 37.00円 | 74.00円 | 40.6% |
| 2026年12月期 | 38.00円(実績) | 38.00円(予想) | 76.00円(予想) | 39.4%(期初予想時) |
出典:2025年12月期 決算短信(2026年2月13日)、2026年12月期 第2四半期決算短信(2026年8月7日)。
年間配当は2024年12月期の71円から、2025年12月期に74円、2026年12月期の予想で年76円と増えてきました。2026年12月期の中間配当38円はすでに確定し、支払開始予定日は2026年9月4日。期末の38円は予想で、8月の第2四半期決算短信でも配当予想の修正はありませんでした。
配当性向は2024年12月期の98.8%から、2025年12月期に40.6%へ下がっています。配当を減らしたわけではありません。2025年12月期は親会社の所有者に帰属する当期利益が前の期より153.4%増え、利益に対する配当の割合が小さくなりました。2024年12月期の98.8%は、利益が少なかった年の数字として読む必要があります。
配当は株数に比例し、100株なら2026年12月期予想で年7,600円(税引前)。1,000株では年76,000円になります。優待は100株から1,000株にしても1年以上3年未満で500円相当から1,000円相当、3年以上で2,000円相当から4,000円相当への増加にとどまり、株数が10倍でも2倍です。
会社の配当方針の原文は、公式の配当ページが静的に読み込めず、決算短信のサマリーにも方針の記載がなかったため、本記事では取り上げていません。2026年12月期の期末配当の基準日は12月末で、優待と同じ日です。
株価2,907円で計算した配当・優待利回り
利回りの計算に使う株価は、2026年10月16日(金)の終値2,907円(Yahoo!ファイナンス)です。100株の投資額は290,700円になります。
| 継続保有期間(100株) | 年間配当 | 優待 | 配当利回り | 優待利回り | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1年未満 | 7,600円 | 0円 | 2.61% | 0% | 2.61% |
| 1年以上3年未満 | 7,600円 | 500円相当 | 2.61% | 0.17% | 2.79% |
| 3年以上 | 7,600円 | 2,000円相当 | 2.61% | 0.69% | 3.30% |
計算式は、配当利回りが「76円÷2,907円×100」、優待利回りが「優待の相当額÷290,700円×100」、合計が「(7,600円+優待の相当額)÷290,700円×100」です(にーと試算・税引前)。3年以上なら(7,600円+2,000円)÷290,700円×100で3.30%、1年以上3年未満なら(7,600円+500円)÷290,700円×100で2.79%。
新しく買った人の最初の1年は、表の1年未満の行にあたります。優待はなく、利回りは配当の2.61%だけです。優待利回りが0.69%になるのは3年以上持ち続けた後で、1年以上3年未満の間は0.17%。
1,000株(2,907,000円)では、優待利回りは1年以上3年未満で0.03%、3年以上で0.14%まで下がる計算。優待の額が2倍にしか増えないのに投資額は10倍になるためで、優待利回りが最も高いのは100株です。
利回りは株価が動くたびに変わり、自分で計算し直す手順は次のとおり。
- 証券会社の画面で現在の株価を確かめ、100倍して100株の投資額を出す
- 配当利回りは、年間配当予想76円を株価で割って100をかける
- 優待利回りは、自分の継続保有期間に当てはまる相当額(0円・500円・2,000円)を投資額で割って100をかける
株価を仮定して利回りを並べる計算は、図書カードの優待を扱ったKPPグループホールディングス(9274)の記事でも使っています。

業績は2026年12月期の予想を8月に上方修正
| 項目 | 売上収益 | 事業利益 | 親会社の所有者に帰属する当期利益 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 実績 | 2兆4,334億円(+4.1%) | 2,518億円(+19.3%) | 1,475億円(+153.4%) |
| 2026年12月期 期初予想 | 2兆4,800億円 | 2,350億円 | 1,560億円 |
| 2026年12月期 修正後予想 | 2兆4,800億円(+1.9%) | 2,530億円(+0.5%) | 1,600億円(+8.4%) |
| 2026年12月期 中間期実績 | 1兆2,179億円(+7.2%) | 1,283億円(+36.1%) | 1,017億円(+92.5%) |
出典:2025年12月期 決算短信(2026年2月13日)、2026年12月期 第2四半期決算短信(2026年8月7日)。会計基準はIFRSで、指標名は短信の表記に合わせています。億円未満は四捨五入。
2026年2月の期初予想では、事業利益を2,350億円とし、前の期より6.7%少なく見込んでいました。8月の第2四半期決算短信で2,530億円へ引き上げ、減益予想から0.5%の増益予想に変わっています。親会社の所有者に帰属する当期利益の予想も1,560億円から1,600億円へ上がり、1株あたり利益の予想は200.00円です。
中間期の実績を修正後の通期予想と比べると、売上収益は49.1%、事業利益は50.7%、親会社の所有者に帰属する当期利益は63.6%まで進みました(にーと試算)。同じ短信には、連結の範囲から外れた会社としてFour Roses Distillery, LLCの記載があり、前年との比較に影響しうる点です。なお中間期の短信は監査法人のレビューの対象外です。
第3四半期の決算は、2026年10月19日時点で発表を確認できていません。通期予想が変わるかどうかは、次の短信で確かめる必要があります。
自己株式取得は8月末時点で取得枠の59.7%
会社は2026年2月13日の取締役会で、自己株式の取得枠を決めました。上限は5,000万株(自己株式を除く発行済株式の6.2%)または800億円、期間は2026年3月6日から2027年2月12日まで、方法は東京証券取引所での買付けです。
| 時点 | 累計取得株数 | 累計取得金額 | 株数の進捗 | 金額の進捗 |
|---|---|---|---|---|
| 2026年4月30日 | 6,906,300株 | 17,617,528,050円 | 13.8% | 22.0% |
| 2026年6月30日 | 13,405,600株 | 34,543,233,700円 | 26.8% | 43.2% |
| 2026年8月31日 | 17,884,100株 | 47,729,652,300円 | 35.8% | 59.7% |
出典:「自己株式の取得状況に関するお知らせ」(2026年5月8日、7月3日、9月3日)。進捗は上限に対するにーと試算。
8月31日時点の累計は17,884,100株、約477億円でした。金額では800億円の枠の59.7%、株数では5,000万株の35.8%にあたります。金額の進み方が株数より速いのは、これまでの平均取得単価(累計金額÷累計株数で約2,669円)が、800億円を5,000万株で割った1株1,600円を上回っているためです。9月以降の取得状況は、本記事の確認時点では取得できていません。
発行済株式数は、2025年12月期末の9億1,400万株から、2026年中間期末には8億1,600万株へ9,800万株減りました。市場で買い戻した株は1株あたり利益の計算から外れるため、同じ利益でも1株あたりの利益は大きくなります。ただし自己株式の取得は会社全体の資本政策で、株主一人ひとりに現金が渡るわけではありません。配当や優待の利回りに足し込んで計算することはできない数字です。
継続保有が途切れるケースと注意点
公式ページは、株主名簿で同じ株主番号の記録が途切れる例として、相続・譲渡、貸株の利用、預け入れている証券会社の変更を挙げています。株を手放していなくても、記録上の連続は切れうるという内容でした。
貸株は見落としやすい項目です。証券会社の貸株サービスを使っていると、連続の回数が数え直しになるおそれがあります。継続保有を狙うなら、四半期末の名簿にどう載るかを利用中の証券会社で確かめておきたいところ。証券会社を移すときも、同じ理由で連続が切れかねません。
1年未満の期間は優待がゼロという点も、利回りを考えるうえで外せません。2026年中に買った場合、最初のQUOカードが届く2028年3月頃まで、受け取れるのは配当だけ。優待を含めた2.79%や3.30%は、条件を満たした後の数字です。
制度そのものが変わる可能性もあります。キリンホールディングスは2024年12月期に、1年未満の優待をやめて保有年数による差をつけました。3年以上を目指して持ち続けても、その時点の制度が今と同じとは限りません。
キリンの優待で判断の分かれ目になるのは、何年持つ予定かです。1年以内に売る可能性があるなら、受け取れるのは配当だけになります。3年以上持つ前提なら、100株で配当と優待を合わせて3.30%(2026年10月16日の株価による試算)。その間の株価の動きは、優待の額よりはるかに大きくなりえます。100株で株価が10%動けば評価額は29,070円変わり、3年以上の優待2,000円相当の約14.5倍の幅です(にーと試算)。
※本記事は特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。配当予想や優待内容は将来にわたって保証されたものではなく、業績や方針の変化によって見直される可能性があります。利回りは2026年10月16日の株価を使った試算です。投資判断はご自身の責任において行ってください。
参考にした公式情報
- キリンホールディングス|株主優待
- キリンホールディングス|2025年12月期ご優待内容(チラシPDF)
- キリンホールディングス|2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年2月13日)
- キリンホールディングス|2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年8月7日)
- キリンホールディングス|自己株式の取得状況に関するお知らせ(2026年5月8日)
- キリンホールディングス|自己株式の取得状況に関するお知らせ(2026年7月3日)
- キリンホールディングス|自己株式の取得状況に関するお知らせ(2026年9月3日・Yahoo!ファイナンス掲載の会社リリース)
- Yahoo!ファイナンス|キリンホールディングス(2503)
情報確認日:2026年10月19日


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