映画の配給・製作や、全国のシネマコンプレックス「TOHOシネマズ」の運営を手がける東宝(証券コード9602・東証プライム)は、映画を鑑賞できる株主優待券を提供する株主優待制度を設けています。「東宝の株を持つと映画がタダで観られるの?」「100株でいくら分もらえて、必要な投資額はどのくらい?」といった疑問を持つ方に向けて、この記事では優待の内容・条件・必要投資額・実質利回りの目安を、公式IR情報をもとに整理します。

なお同社は2026年に株式分割(1株→5株)と株主優待制度の変更を実施しており、権利確定のタイミングが「年2回」から「年1回」へ変わっています。本記事は原則として変更後の新制度をベースに解説し、従来制度との違いも時系列で補足します。
※本記事は特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。制度・数値は変更される場合があるため、最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。
東宝の株主優待、何がもらえる?
東宝の株主優待は、保有株数に応じて受け取れる映画株主招待券の枚数が段階的に増える仕組みです。映画株主招待券は、TOHOシネマズなどで映画1回の鑑賞に利用できます。以下は2026年の株式分割後・新制度(2026年8月末基準以降)の内容です。
| 保有株数 | 映画株主招待券 |
|---|---|
| 100株以上 | 1枚 |
| 500株以上 | 2枚 |
| 2,500株以上 | 6枚 |
| 5,000株以上 | 10枚 |
| 10,000株以上 | 20枚 |
| 25,000株以上 | 30枚 |
| 50,000株以上 | 30枚+演劇株主招待状(自社指定公演・S席相当2席) |
最低ラインとなる100株の保有で、映画株主招待券が1枚受け取れます。50,000株以上を保有する大株主には、映画招待券に加えて自社指定公演の演劇株主招待状(S席相当2席)が付与されます。招待券の枚数は保有株数に応じて増えますが、株数ほど比例的には増えない設計になっている点に留意が必要です。
優待をもらうための条件
優待を受け取るための条件は、以下のとおりです。
- 最低必要株数:1単元=100株以上
- 権利確定日(基準日):新制度では8月末日の年1回(従来は2月末日・8月末日の年2回)
- 継続保有条件:長期保有優遇などの継続保有条件は設けられていません
ここで特に注意したいのが、権利確定のタイミングです。従来は2月末日・8月末日の年2回が基準日でしたが、2026年8月権利分から8月末日のみの年1回に変更されました。2026年2月末日を基準とする分が、最後の「2月基準」の優待となります。2026年8月以降は、2月末時点で株式を保有していても優待は付与されません。この点は誤解を招きやすいため、権利取りの時期には十分ご注意ください。
必要投資額はいくら?
優待の最低ラインである100株を取得するのに必要な金額を確認します。2026年の株式分割(1株→5株)により、従来の約5分の1の金額で最低単元を取得できるようになりました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 株価(2026年7月17日終値) | 1,430円 |
| 単元株数 | 100株 |
| 100株の取得に必要な額(参考) | 約143,000円 |
2026年7月17日の終値1,430円をもとにすると、100株の取得に必要な額は1,430円×100株=143,000円(手数料等を含まず、フクロウが計算した参考値)となります。株価は日々変動するため、実際に購入する際は最新の株価をご確認ください。
権利確定日とスケジュール
新制度では、優待の基準日は毎年8月末日の1回です。優待を受け取るには、8月末の権利付最終日までに株式を取得し、権利確定日時点で株主名簿に記載されている必要があります。
| 基準日 | 招待券の発行時期 | 有効期限 |
|---|---|---|
| 8月末日(新制度・年1回) | 12月下旬までに発行 | 翌年1月~12月の1年間 |
| 2月末日(移行期・最後の2月基準) | 6月下旬までに発行 | 7月~12月の約6か月間 |
新制度では映画株主招待券の有効期限が発行後1年間(1月~12月)に変更され、利用できる期間が長くなりました。一方、移行期にあたる2026年2月末基準分は7月~12月の約6か月間と期限が短めのため、受け取った招待券は早めに使い切っておくと安心です。権利付最終日は年によって変わるため、証券会社のカレンダー等で確認してください。
優待の使い方
映画株主招待券は、TOHOシネマズなどの劇場に設置された自動券売機で座席を指定し、発券して利用します。1枚につき映画1回分の鑑賞に充当できます。
利用にあたっては、対象作品に制限がある点に注意が必要です。映画株主招待券が使えるのは、①ムビチケが発売されている作品かつ②新作の公開作品に限られ、すべての上映作品で使えるわけではありません。観たい作品が対象かどうかは、事前に確認しておくと確実です。
なお、インターネット予約での利用可否については情報源が限られ、本記事の確認範囲では断定できません。利用方法の詳細は、TOHOシネマズの公式案内でご確認ください。
配当+優待の実質利回り
まず配当の状況を確認します。2027年2月期の1株あたり年間配当金は22.00円(会社予想・分割後ベース)で、配当利回りは約1.54%(2026年7月17日時点・会社予想ベース)です。この22円は株式分割後の金額で、分割前に換算するとおよそ110円に相当し、前期(2026年2月期)の110円と実質的に同水準です。分割によって1株あたりの金額は小さくなっていますが、減配ではない点を押さえておきたいところです。
| 決算期 | 年間配当(1株) | 配当性向 |
|---|---|---|
| 2024年2月期 | 85.00円 | 32.8% |
| 2025年2月期 | 85.00円 | 33.4% |
| 2026年2月期 | 110.00円(分割前) | 35.9% |
| 2027年2月期(会社予想) | 22.00円(分割後・実質110円相当) | 未開示 |
次に優待の価値です。映画株主招待券1枚は映画1回分の鑑賞に相当します。TOHOシネマズの一般料金は2026年7月1日に劇場別料金へ改定され、都心部の劇場で2,200円、一部地域で2,100円、据え置きの劇場で2,000円と、利用する劇場によって異なります。100株保有では新制度で年1枚のため、映画1回分(おおむね2,000~2,200円相当)が優待価値の目安となります。
配当利回り(約1.54%)と優待は性質が異なるため、本記事では一律の合算利回りとしてまとめていません。優待は「映画を実際に観る」ことで価値が生じるものであり、金券ショップやフリマ等で換金される場合もありますが、相場は変動するため具体的な換金額は断定できません。優待の価値は、映画を鑑賞する習慣があるかどうかで大きく変わる点を踏まえて判断することが大切です。
優待の変更履歴
東宝は2026年1月中旬(適時開示)に、「株式分割および株式分割に伴う定款の一部変更ならびに株主優待制度の変更」を公表しました。主な変更点は以下のとおりです。
- 株式分割:1株を5株に分割(基準日2026年2月28日/効力発生日2026年3月1日)。これにより最低投資単位が従来の約5分の1に低下
- 権利確定月の変更:従来の2月末・8月末の年2回から、8月末のみの年1回へ変更(2026年8月権利分より)
- 有効期限の変更:映画株主招待券の有効期限を1年間(1月~12月)に変更
この変更により、少額から投資しやすくなった一方で、優待を受け取れる機会は年2回から年1回に減っています。従来の制度を前提に「2月末に権利を取れば優待がもらえる」と考えると誤解につながるため、最新の制度内容を公式IRで確認しておくことをおすすめします。
こんな人に向いている/向いていない
東宝の株主優待は、映画鑑賞券という性質上、活かせるかどうかが人によって分かれます。
向いている可能性がある人
- 普段からTOHOシネマズなどで映画を鑑賞する習慣がある人
- 分割により少額(約14万円)から株主優待銘柄を持ってみたい人
向いていない可能性がある人
- 映画館をほとんど利用しない人(優待の恩恵を活かしにくい)
- 配当利回りの高さを重視する人(配当利回りは約1.5%と低め)
東宝は配当利回りが約1.5%と控えめで、優待を主体に楽しむ性格の銘柄といえます。映画を観る機会が少ない場合、招待券の使い道が限られる点は事前に理解しておきたいところです。
映画とは違う切り口の株主優待にも目を向けたい方には、株主優待割引運賃が使える航空系の銘柄も選択肢になります。ANAホールディングス(9202)や日本航空(JAL・9201)の株主優待も、あわせて確認してみてください。


注意点・リスク
- 権利確定は年1回(8月末):2026年8月以降、2月末保有では優待がもらえません。従来の年2回制度と混同しないよう注意が必要です。
- 利用作品に制限:映画株主招待券は「ムビチケが発売されている新作の公開作品」に限られ、全作品では使えません。
- 継続保有優遇なし:長期保有による優待の上乗せはありません。
- 有効期限に注意:新制度は発行後1年間、移行期の2月末基準分は約6か月間と期限が異なります。
- 換金額は断定できない:金券ショップ等での換金相場は変動するため、具体的な金額は保証されません。
また、株式である以上、株価下落による評価損のリスクや、業績・方針の変更によって優待制度自体が再び見直される可能性もあります。優待の価値だけでなく、企業の事業内容や財務状況も含めて総合的に判断することが大切です。
まとめ
東宝(9602)の株主優待は、100株以上の保有で映画株主招待券が受け取れる制度です。2026年の株式分割(1株→5株)と制度変更により、最低投資額は約143,000円(2026年7月17日終値ベース)と持ちやすくなった一方、権利確定は2026年8月分から8月末の年1回に変更され、映画招待券の有効期限は発行後1年間(1月~12月)になりました。
配当は2027年2月期で年間22.00円(会社予想・分割後ベース、分割前の110円と実質同水準)、配当利回りは約1.54%が目安です。配当利回りは控えめで、映画鑑賞という優待を主体に楽しむ銘柄といえます。優待を活かせるかどうかは、映画館を利用する習慣があるかに大きく左右されます。
※本記事は特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。制度・数値は変更される場合があるため、最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。



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