ANAホールディングス(証券コード9202)の株主優待は、ANA国内線を割引価格で利用できる「株主優待割引」を中心に、旅行好きの個人投資家から長く注目されてきた優待のひとつです。ただし、2026年4月30日に発表された制度改定により、優待の内容と発行枚数のルールが「現行制度(〜2026年度下期)」と「新制度(2027年度上期〜)」で分かれることになりました。本記事では、どちらの時点の制度かを明記しながら、もらえる内容・取得条件・必要投資額・利回りの考え方までを、ANAホールディングスの適時開示資料とYahoo!ファイナンスの確認データに基づいて整理します。
※本記事は特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。制度・数値は変更される場合があるため、最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。
ANA(9202)の株主優待、何がもらえる?
ANAホールディングスの株主優待は、複数の特典で構成されています。中心となるのは、従来から続くANA国内線の割引特典です。
そもそも株主優待の基本的な仕組みや権利確定日の考え方を整理したい方は、あわせて株主優待とは何かをまとめた記事もご覧ください。

| 特典 | 内容 | 適用開始 |
|---|---|---|
| 株主優待割引(主特典) | ANA国内線の片道1区間を、基準運賃から50%割引。「株主優待番号ご案内書」1枚につき1区間で利用 | 従来から継続 |
| 「シンプル」運賃5%割引 | エコノミークラスの価格重視運賃「シンプル」を5%割引。同一予約全体に適用 | 2026年7月1日新設 |
| 国内・海外ツアー商品割引 | 従来の2〜5%割引から10%相当に拡大(海外パッケージは2026年11月1日出発分から10%、同10月31日出発分までは5%) | 2026年6月1日〜 |
| ANAグループ優待券 | ホテル・ゴルフ場・空港売店・機内販売・通販等で優待価格 | 継続 |
| Peach国際線割引4,000円 | 日本発Peachブランド国際線のスタンダード/スタンダードプラス運賃が対象(期間限定) | 2026年6月1日〜の期間限定 |
主特典である国内線50%割引は、旅行・帰省・出張などでANA国内線を利用する株主にとって中心的なメリットです。一方、2026年7月1日に新設された「シンプル」運賃5%割引や、拡大されたツアー割引などは、2026年4月30日発表の制度改定で追加・強化されたものです。ANAグループ優待券の対象施設・割引率の詳細は本記事の確認範囲では取得できなかったため、利用の際は公式サイトでご確認ください。(出典: ANAホールディングス適時開示「株主優待制度の一部変更(拡充)に関するお知らせ」2026年4月30日/確認日2026-07-19)
優待をもらうための条件
ANAの株主優待を受け取るための基本条件は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 最低必要株数 | 100株(1単元)以上 |
| 権利確定日(基準日) | 毎年3月末・9月末の年2回 |
| 継続保有条件(主特典) | なし(100株保有で主特典の割引券を取得可) |
| 長期保有特典の条件 | 3年(7基準日)以上、同一株主番号で連続保有(新制度で新設) |
主特典である50%割引券(株主優待番号ご案内書)に継続保有条件はなく、100株以上を基準日に保有していれば取得できます。ただし、新たに設けられる長期保有特典は3年(7基準日)連続保有が条件で、主特典とは別枠での追加発行となります。
発行枚数【現行制度・〜2026年度下期】
現行制度における「株主優待番号ご案内書」の発行枚数は、保有株数に応じて次のとおりです。
| 保有株数 | 発行枚数 |
|---|---|
| 100〜199株 | 1枚 |
| 200〜299株 | 2枚 |
| 300〜399株 | 3枚 |
| 400〜999株 | 4枚+400株超過分200株毎に1枚 |
| 1,000〜99,999株 | 7枚+1,000株超過分400株毎に1枚 |
| 100,000株〜 | 254枚+100,000株超過分800株毎に1枚 |
発行枚数【新制度・2027年度上期〜】
2027年度上期からは発行枚数のルールが見直され、多くの保有株数区分で発行枚数が減る方向に変わります。例えば1,000株保有の場合、現行制度の7枚から新制度では5枚となります。
| 保有株数 | 発行枚数 |
|---|---|
| 100〜199株 | 1枚 |
| 200〜299株 | 2枚 |
| 300〜399株 | 2枚 |
| 400〜999株 | 3枚+400株超過分300株毎に1枚 |
| 1,000〜99,999株 | 5枚+1,000株超過分500株毎に1枚 |
| 100,000株〜 | 203枚 |
このように、現行制度から新制度への移行では、主に300株以上の区分で発行枚数が減枚となります。100〜299株の区分は現行・新制度ともに枚数が変わりません。取得を検討する際は、いつの基準日から新制度が適用されるかを踏まえて確認することが重要です。
長期保有特典【新設・3年(7基準日)保有】
新制度では、3年(7基準日)以上連続して同一株主番号で保有した株主に対し、上記の発行枚数とは別枠で追加の案内書が発行されます。
| 保有株数 | 各基準日ごとの追加発行枚数 |
|---|---|
| 300〜899株 | 1枚 |
| 900〜9,999株 | 2枚 |
| 10,000株〜 | 3枚 |
この長期保有特典は「3年(7基準日)以上連続して同一株主番号で保有」が条件で、100〜299株の区分は対象外です。(出典: ANAホールディングス適時開示2026年4月30日/確認日2026-07-19)
必要投資額はいくら?
ANAホールディングスの単元株数は100株です。株価をもとにした最低投資額の目安は次のとおりです。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 株価(終値) | 3,027円(2026年7月17日終値) |
| 優待に必要な最低株数 | 100株 |
| 最低投資額(フクロウ参考値) | 約302,700円(手数料除く) |
【フクロウ試算】3,027円 × 100株 = 約302,700円です。これは2026年7月17日終値をもとにした目安であり、株価は日々変動するため、実際の取得時点の金額は上下します。100株(1単元)で主特典の50%割引券1枚を取得できますが、発行枚数を増やすにはより多くの株数が必要になります。(出典: Yahoo!ファイナンス 9202/確認日2026-07-19)
権利確定日とスケジュール
ANAの株主優待にかかわる権利確定日(基準日)は、毎年3月末と9月末の年2回です。それぞれの基準日で保有していた株主に、株主優待番号ご案内書が発行されます。
案内書には有効期限が設けられており、基準日ごとに有効期間が固定されています。2025年5月発行分からは、従来の1年から1年半(18か月)に延長されました。基準日別の有効期間の目安は次のとおりです。
| 基準日 | 有効期間の目安 |
|---|---|
| 9月末基準 | 12月1日〜翌年5月31日 |
| 3月末基準 | 6月1日〜11月30日 |
有効期限を過ぎた案内書は無効となります。年2回もらえる優待ですが、それぞれ利用できる期間が決まっているため、搭乗予定に合わせて計画的に使うことがポイントです。(出典: ANAホールディングス適時開示2026年4月30日/ペイマスターガイド2026-04-17時点/確認日2026-07-19)
優待の使い方
主特典と新設特典で、使い方が異なります。
| 特典 | 使い方 |
|---|---|
| 株主優待割引(50%割引) | ANA国内線(コードシェア便含む)の片道1区間について、基準運賃(フレックス)から50%割引。案内書1枚で1区間。予約時に株主優待番号を利用 |
| 「シンプル」運賃5%割引 | 株主専用サイトで割引コードを取得し、同一予約全体に5%割引を適用(発行基準: 100〜499株=1回分、500〜999株=2回分、1,000株以上=3回分) |
50%割引の対象となるのは、国内線の基準運賃である「フレックス」です。国際線、Peach等のLCC運賃、特典航空券、スーパーバリューやセール運賃などの割引運賃は対象外です。また、フレックス運賃自体が需要に応じて変動する運賃のため、繁忙期は50%割引後でも高額になる場合があります。新設の「シンプル」運賃5%割引や後述のツアー割引は、株主専用サイト(株主専用ページ)でのコード取得方式となっています。(出典: ANAホールディングス適時開示2026年4月30日/確認日2026-07-19)
同じ航空会社の優待と比べたい場合は、日本航空(JAL)の株主優待もあわせて確認しておくと、割引の仕組みや使い勝手を比較しやすくなります。

配当+優待の実質利回り
利回りを考える際は、性質の異なる「配当(現金)」と「優待(割引)」を分けて捉えることが重要です。ANAの優待は割引特典であり、その金銭的価値は利用する路線・運賃・搭乗回数によって大きく変わるため、本記事では配当と優待を合算した単一の利回りは算出していません。
配当利回り
ANAの配当実績・予想は次のとおりです。
| 期 | 年間配当(1株) | 区分 |
|---|---|---|
| 2025年3月期 | 60円 | 実績 |
| 2026年3月期 | 65円 | 実績 |
| 2027年3月期 | 60円(中間30円+期末30円) | 会社予想 |
配当利回りは、2026年7月17日終値3,027円を基準にすると、2026年3月期実績ベース(配当65円)で2.15%、2027年3月期予想ベース(配当60円)で1.98%です。配当性向は2026年3月期で18.1%(前期18.4%)です。なお、中間配当制度は2027年3月期(基準日9月30日)から導入されます。参考として、ANAはコロナ禍の影響で2020〜2023年は無配でしたが、2024年3月期に50円で復配し、以降は増配基調となっています。
優待部分の位置づけ
優待の金銭的価値は、割引の対象運賃や搭乗頻度によって大きく変動します。第三者メディアの例示では、羽田〜新千歳線のフレックス運賃48,340円が50%割引で24,170円になるとの記載があります(ペイマスターガイド2026-04-17時点の例)。ただしこれは特定の路線・時点の一例であり、路線や搭乗日によって金額は大きく変わります。搭乗頻度が高くフレックス運賃を利用する株主ほど価値が大きくなり、逆にANA国内線をほとんど利用しない場合は価値を活かしにくい特典です。前提を固定できないため、投資額に対する優待利回りの一律の数値は本記事では作成していません。(出典: IRBANK 9202/みんかぶ 9202/ペイマスターガイド2026-04-17時点/確認日2026-07-19)
優待の変更履歴
ANAの株主優待は、2026年4月30日に発表された制度改定(拡充)によって大きく見直されました。主な変更点は次のとおりです。
| 変更点 | 内容 | 適用時期 |
|---|---|---|
| 「シンプル」運賃5%割引の新設 | 価格重視運賃を5%割引する特典を追加 | 2026年7月1日〜 |
| 発行枚数ルールの見直し | 主に300株以上の区分で発行枚数が減枚方向へ変更 | 2027年度上期〜 |
| 長期保有特典の新設 | 3年(7基準日)以上連続保有の株主に案内書を別枠追加発行 | 新制度で新設 |
| ツアー割引の拡大 | 2〜5%割引から10%相当へ拡大 | 2026年6月1日〜 |
| 大口・長期保有優遇の新設 | 20,000株以上・3年継続の個人株主対象に「ダイヤモンドサービス一部体験」を新設 | 2026年6月1日〜 |
| Peach国際線割引4,000円 | 日本発Peachブランド国際線を対象に期間限定で新設 | 2026年6月1日〜の期間限定 |
また、案内書の有効期限は2025年5月発行分から、従来の1年から1年半(18か月)へ延長されています。今回の改定は「拡充」と位置づけられていますが、発行枚数については300株以上の区分で減枚となるため、保有株数によって影響の受け止め方は異なります。なお、コロナ禍前後での発行枚数そのものの増減履歴は、本記事の確認範囲では確認できませんでした。(出典: ANAホールディングス適時開示2026年4月30日/ペイマスターガイド2026-04-17時点/確認日2026-07-19)
こんな人に向いている/向いていない
優待の性質から、活用しやすいケースとそうでないケースを整理します。あくまで一般的な傾向であり、最終的な判断は各自の状況によります。
| 向いている可能性がある人 | 向いていない可能性がある人 |
|---|---|
| ANA国内線を定期的に利用する人(帰省・出張・旅行) | ANA国内線をほとんど利用しない人 |
| フレックス運賃で正規料金の航空券を購入する機会がある人 | 普段からスーパーバリューやセール運賃を使う人(割引対象外) |
| 年2回の基準日に合わせて計画的に搭乗できる人 | 有効期限内に搭乗予定を立てにくい人 |
| 長期保有を前提に検討している人(長期保有特典の対象になり得る) | 短期での値上がり益や現金リターンを重視する人 |
旅行やレジャー系の株主優待に関心がある方には、テーマパーク運営のオリエンタルランドの株主優待もよく比較検討されています。

注意点・リスク
取得を検討する場合、次の点に留意が必要です。
- 制度が現行・新制度で分かれる: 発行枚数は2027年度上期以降、300株以上の区分で減枚方向に変わります。検討時はどちらの制度が適用されるかを確認してください。
- 有効期限がある: 案内書は基準日ごとに有効期間が固定されており、期限切れは無効です(2025年5月発行分から1年半に延長)。
- 50%割引はフレックス運賃基準: 変動運賃のため、繁忙期は割引後でも高額になる場合があります。「シンプル」運賃の割引率は5%と低めです。
- 対象外の運賃がある: 国際線、LCC(Peach等)運賃、特典航空券、スーパーバリュー/セール運賃などは50%割引の対象外です。
- 費用の扱いに注意: 割引は「運賃」に対して適用され、空港使用料・旅客施設使用料等は別途となる可能性があります。ANA公式での明示は本記事の確認範囲では確認できませんでした。
- 予約・購入ルールの変更: 2026年5月19日以降、購入期限の短縮(予約後24時間以内等)、ネット空席待ち不可、取消手数料500円などの変更が第三者情報で伝えられています。詳細は公式サイトで再確認してください。
- 換金性: 案内書は従来から金券ショップで売買される流通実績がありますが、具体的な買取価格は本記事の確認範囲では確認できませんでした。新設のシンプル5%割引やツアー割引は株主専用サイトでのコード取得方式のため、換金性は低いと考えられます。
- 株価・利回りは時点値: 本記事の株価・配当利回りは2026年7月17日時点です。検討時は直近の数値をご確認ください。
まとめ
ANAホールディングス(9202)の株主優待は、ANA国内線の片道1区間を基準運賃から50%割引できる「株主優待割引」を主特典とし、100株以上を毎年3月末・9月末の基準日に保有する株主が対象です。2026年4月30日発表の制度改定により、「シンプル」運賃5%割引の新設やツアー割引の拡大などが加わる一方、発行枚数は2027年度上期以降、300株以上の区分で減枚方向へ見直されます(例: 1,000株保有=現行7枚→新制度5枚)。あわせて3年連続保有の長期保有特典も新設されます。
配当利回りは2026年7月17日終値3,027円基準で、2026年3月期実績ベース2.15%、2027年3月期予想ベース1.98%です。優待は割引特典であり、その価値は利用する路線・運賃・搭乗頻度によって大きく変わるため、配当と単純に足し合わせた利回りは本記事では算出していません。制度は現行・新制度で分かれ、今後も変更される可能性があるため、検討の際は必ず最新の公式情報をご確認ください。なお、ANA公式サイトの株主優待ページは本記事の調査時に直接取得できなかったため、主特典の確認は適時開示資料(2026年4月30日)に依拠しています。
※本記事は特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。制度・数値は変更される場合があるため、最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。



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