平日の昼間、近所のスーパーに買い物に行く。カートを押しているのは、70代くらいの高齢者がほとんど。あとは小さい子を連れたお母さんが数人。
40代の男が一人でカゴを持って歩いている。それが私です。
2024年にサイドFIREして、2026年に完全FIREへ移行しました。会社を辞めてから2年。FIRE達成の高揚感は最初の1週間で消えて、代わりにやってきたのは、静かすぎる日常だったんですよね。
会社を辞めて失ったもの
FIREして真っ先に気づいたのは、「雑談がなくなった」ということでした。
別に仲が良かったわけではない同僚たち。でも毎日顔を合わせて、「今日の会議だるいね」「あの案件どうなった?」と何気ない言葉を交わしていた。そういう小さなやりとりが、実はかなりのボリュームで自分の1日を構成していたと、辞めてから気づきます。
帰属感もなくなります。会社員だった頃は「○○株式会社のマーケティング部」という看板があった。名刺を渡せば、相手が自分を理解してくれる枠組みがあった。
FIRE後は「無職」。正確に言えば「配当で暮らしている人」なのですが、初対面でそれを説明するのはなかなか面倒です。聞かれたくないから、そもそも新しい人と会う場面を避けるようになる。これが地味に効いてきます。
人間関係が9割減った現実
会社員時代、日常的に言葉を交わしていた相手を数えてみました。
| カテゴリ | 会社員時代 | FIRE後 |
|---|---|---|
| 同じ部署の同僚 | 8人 | 0人 |
| 他部署の定期やりとり | 5人 | 0人 |
| ランチ仲間 | 3人 | 0人 |
| 取引先の担当者 | 4〜5人 | 0人 |
| 妻 | 1人 | 1人 |
| 友人(月1回程度) | 2人 | 2人 |
| 近所の顔見知り | 0人 | 1〜2人 |
| 合計 | 23〜24人 | 4〜5人 |
20人超から4〜5人。数字にすると、日常的に会話する相手は約8割減ったことになります。
正直なところ、最初の半年はこの落差がきつかった。平日の日中に誰とも話さない日が普通にある。夕方、妻が帰ってきて(当時はまだサイドFIRE中で妻も週数日働いていた)、第一声が「今日、誰とも話してないわ」だったことが何度もあります。
DINKs夫婦だから乗り越えられた面
これは素直に認めないといけない部分です。もし一人暮らしでFIREしていたら、もっとしんどかったと思います。
夫婦二人の生活だから、最低限の会話は毎日ある。朝の「今日の予定どうする?」、昼の「ランチ何にする?」、夜の「あのドラマの続き観る?」。FIRE夫婦の生活費をお互いに把握しているから、お金の話もオープンにできる。
孤独を感じるのは「誰かと話したいのに、話す相手がいない」とき。私の場合、妻がいるぶん、完全なゼロにはならなかった。これがDINKsでFIREするメリットの一つだと実感しています。
逆に、四六時中一緒にいることで距離感が難しくなる場面もあります。お互いに一人の時間を意識的に作るようになったのは、FIRE後の変化の一つ。私は午前中にカフェで過ごすことが多く、妻は自宅でのんびりしている。その時間のおかげで、夕方また顔を合わせるのが自然になります。
「孤独」と「孤立」は違う
会社を辞めて2年目のどこかで、この区別がはっきりしました。
孤独は「一人でいる状態」。孤立は「繋がりたいのに繋がれない状態」。似ているようで、まるで違います。
FIREしてからの私は、孤独ではあるけど孤立はしていない。一人の時間が長いのは事実。でも、連絡を取りたい相手には連絡できるし、会いたいときには会える。その自由があるかどうかが分かれ目だと思っています。
会社員時代は、むしろ逆だった。毎日大勢と顔を合わせているのに、「この人たちと本当に繋がっているか?」と感じることがあった。朝の挨拶、会議の合間の雑談、飲み会の二次会。形式的な接点は多いのに、中身は薄い。
FIREして人間関係は大幅に減ったけど、残った繋がりの密度は上がりました。「会わなきゃいけない」が消えて、「会いたいから会う」だけになった。FIREして変わった価値観の中でも、これが一番大きかったかもしれません。
会社の人間関係から解放されたもの
孤独の話をすると暗くなりがちですが、失ったものの裏には、なくなって清々したものもあります。
飲み会。年末の忘年会、歓送迎会、「ちょっと一杯行きませんか」の付き合い。年間で20〜30回はあった気がします。1回4,000〜5,000円として、年間8万〜15万円。時間もお金も、今となっては相当もったいなかった。
上司の顔色。これが一番大きいかもしれません。企画書を出す前に「部長はどう思うかな」と考える時間。評価面談の前のもやもや。「今期の目標はこれで」と言われて、本心では違うと思いながら頷くあの感じ。全部なくなりました。
忖度。「○○さんがそう言うなら…」で決まる会議。空気を読んで発言を控える習慣。FIRE後は空気を読む必要がない場所にしか行かないので、この筋肉は完全に衰えています。衰えていいと思っています。
私は資産5,000万でFIREを実現しましたが、お金の自由以上に、人間関係の自由が生活の質を上げている実感があります。
FIRE後に人との繋がりを保つ3つの方法
人間関係が大幅に減った状態からどうしているか。現時点で機能しているものを3つ記録しておきます。
趣味のコミュニティに顔を出す
私の場合は近所のランニングクラブです。週1回、朝に集まって走る。会話の内容は天気やペースの話が中心で、深い付き合いにはならない。でも「顔を知っている人がいる場所」があるだけで、生活にリズムが出ます。
会社の人間関係と決定的に違うのは、行かなくても誰にも怒られないこと。体調が悪い日は休める。この「やめる自由」があるだけで、人付き合いのストレスは激減します。
SNSで同じ境遇の人と繋がる
FIREしている人、FIRE目指している人はSNS上にけっこういます。投資の話ができる相手が身近にいない分、オンライン上の繋がりはありがたい。
リアルの友人に「今月の配当が27万だった」と言っても反応に困られるだけですが、同じ方向を向いている人なら話が通じる。この「話が通じる」感覚は、孤立感を和らげてくれます。
近所付き合いを雑に維持する
会社員時代は朝出て夜帰る生活だったので、近所の人とはほぼ接点がなかった。FIRE後は昼間に家にいるので、ゴミ出しや散歩のタイミングで顔を合わせる機会が増えます。
深い付き合いはしていません。挨拶と天気の話だけ。でもそれで十分。「近くに知り合いがいる」という安心感は、実はかなり大きいんですよね。
「寂しいですか?」への正直な答え
FIREを検討している人から、たまにこう聞かれます。
正直に答えると、「寂しくなる瞬間はある。でも戻りたいとは思わない」。
平日の昼間、カフェで一人で本を読んでいるとき。ふと「みんな働いてるんだよな」と思う瞬間がある。年末年始、周囲が仕事納めだ新年会だと盛り上がっているのに、自分だけカレンダーに何の変化もないとき。そういう瞬間は、少しだけ寂しい。
でも、月曜の朝に目覚まし時計が鳴らない生活。FIREした人の1日は自分で組み立てられる。混んでいない時間にスーパーに行けて、空いている平日に旅行に行ける。配当月27万の生活は派手ではないけれど、自分のペースで息ができる。
孤独と引き換えに手に入れたものの方が、私にはずっと大きかった。
会社を辞めて2年。人間関係は確かに大幅に減りました。でも残った繋がりと、自分で選んだ時間の使い方があれば、寂しさは十分にコントロールできる。少なくとも、私の場合はそうでした。
※ 本記事は筆者個人の体験に基づくものであり、投資判断は自己責任でお願いいたします。
よくある質問
FIREしたら孤独になりますか?
人間関係は大幅に減ります。私の場合は日常会話する相手が20人超から4〜5人になりました。ただし「孤独」と「孤立」は別で、会いたい人に会える自由がある限り、孤立にはなりません。DINKs夫婦であることも助けになっています。
FIRE後の人間関係で困ったことは?
初対面で「何のお仕事を?」と聞かれたときの返答に困ります。「配当で暮らしている」と言っても伝わりにくく、説明が面倒で新しい出会いの場を避けがちになりました。
FIRE後に友達はできますか?
趣味のコミュニティやSNSで繋がりは作れます。ただし会社のように「毎日顔を合わせる」関係はないので、自分から動かないと人との接点は増えません。

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